2012 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクスによる酸化損傷蛋白質を指標としたパーキンソン病リスク評価法の開発
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23390162
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
及川 伸二 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10277006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 真理子 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10171141)
山嶋 哲盛 金沢大学, 医学系, 准教授 (60135077)
冨本 秀和 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80324648)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / 黒質 / 神経細胞死 / 酸化ストレス / プロテオミクス解析 / 酸化損傷タンパク質 |
Research Abstract |
日本人の平均寿命は、男女とも世界でトップクラスとなるに至ったが、その一方で、急速な高齢化が進み老年疾患の罹患率が上昇している。老年性の神経変性疾患であるパーキンソン病においては、黒質の神経細胞死に酸化ストレスが重要な役割を果たすことが報告されている。しかし、黒質の神経細胞死に関しては未だ不明な点が多く、酸化ストレスの役割も明確にはされていない。本研究では、パーキンソン病患者や高度に酸化ストレスを暴露したサルを用い、神経細胞の変性と壊死における酸化ストレスの役割を解明し、本疾患の発症メカニズムを分子レベルで明らかにする。さらに、パーキンソン病の発症や進行の診断に有効な新規バイオマーカーの探索を行う。 本年度は、三重大学付属病院 神経内科を受診したパーキンソン病患者(50~80歳)から血液を採取し、血漿に分離後、高濃度タンパク質(アルブミンなど)を除去した。さらに、コントロールとして、三重厚生連いなべ総合病院 健康管理センターで健康診断を行った健常者から血液の採取を始めた。 酸化ストレス暴露モデルの一過性全脳完全虚血ザルの黒質の組織切片を作製し、虚血後15日目で、神経細胞死が50%程度起こっていることを明らかにした。また、現在までの研究結果から、分子シャペロンのヒートショックプロテイン(Hsp)70-1,TCAサイクル酵素のひとつであるアコニターゼ、軸索成長に関与するdihydropyrimidinase-related protein 2(DRP-2)の酸化損傷が、神経細胞死に重要な役割を果たしていることが明らかになった。現在、酸化ストレスによりDRP-2が切断されるのかどうか検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した非パーキンソン病患者よりも健常者の血液を用いた方がより研究の精度が増すことから、健常者の血液採取のために倫理委員会への承認申請を行い、その承認に少し時間がかかった。現在は、順調に健常者の血液採取が行われている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、パーキンソン病患者と健常者の血漿中のタンパク質の変動を網羅的に解析し、さらに酸化損傷タンパク質についても解析を行う。これらの結果と実験動物の結果から、パーキンソン病の発症や進行の診断に有効な新規バイオマーカーの検討を行う。
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Research Products
(21 results)