2012 Fiscal Year Annual Research Report
アルギナーゼの炎症性バイオマーカーとしての有用性に関する研究
Project/Area Number |
23390163
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
荻野 景規 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70204104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾長谷 靖 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40399762)
尾内 一信 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80351899)
汪 達紘 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90294404)
高橋 秀和 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90450402)
久保 正幸 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60420519)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | アルギナーゼI / L-アルギニン / 酸化ストレス / 呼気NO / IgE / 糖尿病 / インスリン |
Research Abstract |
1)喘息における血清アルギナーゼIと呼気NO及び血清IgEとの関連性-ヒト症例と動物モデルを用いた検討- 呼気NOは、NOx及びIgEと直接関連していることがわかり、アルギナーゼIは、L-arginineと負の関連性があり、酸化ストレスバイオマーカーである3-ニトロチロシンと正の関連性、さらにL-アルギニンは3-ニトロチロシンと負の関連性を認めた。アルギナーゼIは、血中及び組織中のL-アルギニン濃度を制御し、アルギナーゼIがL-アルギニンを介してNO合成酵素を抑制し、酸化ストレスを増強していることが示唆された。アルギナーゼIは、呼気NOとは正の関連があり、共通の転写因子により調節されている可能性を認めた。 2)肥満・糖尿病発症マウスモデルを用いた低レベル持続性炎症におけるアルギナーゼIの動態と制御による肥満及び糖尿病発症予防に関する研究 マウスへの高カロリー食により、体重増加と共に、血糖値、血清インスリン値、アルギナーゼ活性等の上昇、腹腔内脂肪組織のアルギナーゼIのmRNAの強発現が認められ、さらに血清L-アルギニンの低下が認められた。高カロリー食にNaNO2-を投与することによって、血清インスリンの上昇が抑制された。このことより、アルギナーゼIが、肥満に伴う糖尿病の発症に関与している可能性と、NaNO2-が糖尿病を予防する可能性があることが示唆された。 3)肝臓型アルギナーゼIに特異的ELISAの開発 昨年度、開発したポリクローナル抗体によるELISAを用いて、健常成人約700名を対象に、市販のELISAとの比較を行った結果、我々が開発したアルギナーゼIのELISAは、市販品とほぼ同様な結果を示した。すなわち、酸化ストレスバイオマーカーである尿中8-OHdG濃度と正の関連性があり、年齢及び血清インスリン濃度と負の関連性があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新しいELISAの開発は、市販のELISAに比し、ほぼ同様な結果を示し、予防医学的リスク評価を行う上で、非常に有用であることが証明された。健常者、喘息患者、糖尿病患者等のヒト検体を用いた血清分析及び呼気NOの統計解析がほぼ終了し、論文作成中である。マウスを用いた喘息モデルは、ほぼ計画を達成しているが、糖尿病モデルにおけるアルギナーゼ関与に関する実験は、現在進行中である。喘息マウスの呼気NOの測定は、未だ、成功していない。全体を通じて、研究計画の達成度は、約70-80%と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
アルギナーゼが、糖尿病や動脈硬化に関与していることが明らかになったので、より詳細な分子機序を検討し、予防・治療に有用な分子標的を検索する。今年度は、新たな遺伝子改変マウスの作製を計画しており、このマウスを利用して、糖尿病や動脈硬化予防・治療法の検討を行う。また、アルギナーゼが、健診と同時に調査していた職業性ストレスやうつ状態と関連性があることが、分析結果より判明し、遺伝子改変マウスを用いて、精神神経学的側面から、アルギナーゼの関与を検討する。
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