2011 Fiscal Year Annual Research Report
次世代シークエンサーを用いた統合的遺伝子解析による慢性C型肝炎の病態解明
Project/Area Number |
23390195
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
榎本 信幸 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (20251530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 伸哉 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (70397298)
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Keywords | HCV / コア蛋白 / ISDR / インターフェロン / リバビリン / プロテアーゼ阻害剤 / 次世代シークエンシング |
Research Abstract |
●病原性を規定するHCV変異体の解明: 肝発癌にかかわるHCVゲノムの特徴を探索し、コア70番アミノ酸の変異が関わることを確認、さらに次世代シークエンサを用いてコア70番変異の混在状態を解析、すべての症例でこの変異は患者体内において混在状態となっており、肝病変の進展と関連し経時的に変化することを明らかとした。特に肝発癌症例においてはGGTの変動とコア70番変異の変動に相関が認められる可能性があり、変異コア蛋白による酸化ストレス増大などを介した肝細胞障害の増強が発癌過程に関連していることが示唆された。 ●抗ウイルス治療反応性を規定するHCV変異体動態の解析: インターフェロン・リバビリン併用療法での治療効果を規定するISDR変異について次世代シークエンサによる解析を行い、治療経過に伴って変異体の混在状態が変化することを明らかとした。また、NS3プロテアーゼ領域の変異についてはダイレクトシークエンシングにより数パーセントの症例においてプロテアーゼ阻害剤ナイーブ症例でも耐性変異が存在することが判明した。さらに次世代シークエンシングによる解析を行ったところ、大部分の症例で低頻度ではあるが、既に治療前からV36、T54などの耐性変異が存在することを明らかとした。しかしながら、これらの症例はプロテアーゼ阻害剤治療でウイルス排除が得られたことからこれらの単一アミノ酸変異の解析ではなくNS3全体の変異の解析が必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
病原性を規定するHCV変異体の解明および抗ウイルス治療反応性を規定するHCV変異体動態の解析については予定通りの達成状況であるが、変異体の機能解析および遺伝子発現解析についてH23は準備段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通りに研究を推進する。研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点は現在のところは存在しない。
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Research Products
(10 results)