2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23390209
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
堀江 稔 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90183938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芦原 貴司 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (80396259)
伊藤 英樹 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (30402738)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 分子心臓病態学 / 遺伝性不整脈 / パッチクランプ法 / コンピュータシミュレーション / 遺伝子解析 / 機能解析 / iPS細胞 / テーラーメイド医療 |
Research Abstract |
我々は、1996 年より遺伝性不整脈疾患の詳細な臨床情報とゲノムDNA を集積しており、現在、3000名近い症例(約1200 家系)を対象にゲノム解析を行っている。遺伝子異常同定率は疾患によって異なり、遺伝性QT延長症候群では約6割、ブルガダ症候群では1割程度であった。また、昨年度は日本で初めて,多数例でのカテコラミン感受性多形性心室頻拍と不整脈源性右室心筋症で関連遺伝子の検索を行い報告した (Kawamura M et al., Circ J. in press; Ohno S et al., Circ J. in press)。発見された遺伝子変異について培養細胞を用いたパッチクランプ法や蛋白イメージング法を用いて機能解析を行った(Kimura H et al., Circ Cardiovasc Genet. 2013; Ishikawa T et al., Circ J. 2013; Hattori T et al., Cardiovasc Res. 2012; Doi T et al., Circ Cardiovasc Genet. 2011など)。さらにコンピュータ・シミュレーション法で、機能障害が病態とどのように関連するか調べた(Nakajima et al, Circ J. 2012; Yamazaki M et al., Heart Rhythm. 2012)。また、遺伝性QT延長症候群症例から得られたiPS細胞を心筋に分化することによって、個々の遺伝的背景を保持した心筋細胞を作成し機能解析をおこなった。これまでの業績を評価され、Circulation Research誌からKチャネルと遺伝性不整脈に関する総説の依頼を受け執筆した (Shimizu W & Horie M, Circ Res. 2011)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝性不整脈の3000名近い症例(約1200 家系)をデータベースとして、その遺伝的背景を、遺伝子検索で発見し、その機能解析を通して病態との関連を統合的に調べてきた。昨年度は、日本で初めてまとまった数での検討となるカテコラミン感受性多形性心室頻拍と不整脈源性右室心筋症で関連遺伝子検索を行い報告した (Kawamura M et al., Circ J. in press; Ohno S et al., Circ J. in press)。また、不整脈の機能解析に新たなアプローチとなる心房筋全体の再構築が可能なモデルを、研究分担者の芦原が構築した。これを用いて心房細動の発生と維持における線維芽細胞の関与を検討し、原著論文として発表した(Ashihara et al., Circ Res. 2012)。当初の24年度申請における企画として、iPS細胞を用いたアプローチも予定していたが、それの先鞭となる研究として、2つの論文を発表することができた。うち一つは京都大学CiRA研究所の山中教授との共同研究である(Egashira T et al., Cardiovasc Res. 2012; Kamakura T et al., Circ J. in press)。エクソン内に存在するスプライシング促進領域(exonic splicing enhancer: ESE)に関する研究もiPS細胞を作成して順調に進行中であり、当初の平成24年度の研究計画はおおむね順調に達成されたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
広く遺伝子検査が臨床に普及してテーラメイド医療として用いられるためには、発見された遺伝子異常の悪性度を評価するシステムを立ち上げることが喫緊の問題である。すなわち、遺伝子レベルの異常だけで、病気の発症がすべて説明できるわけではない。我々は、この遺伝子異常の悪性度評価として、主として3つのアプローチを行ってきた。(1)遺伝情報から得られた蛋白の変化に基づく生理学的な方法での機能解析 (in vitro)、(2)既報の解析で得られた情報を組み込んだコンピュータ・シミュレーションを用いてのin silico解析、さらに(3)症例から得られた疾患特異的なiPS細胞由来の心筋細胞を用いた機能解析(semi-in vivo)である。これらのアプローチを総合的に用いることにより、病態発症のメカニズムについて、さらに研究を進めたい。iPS細胞を用いる研究では、現在、慶応大学循環器内科の福田研究室および京都大学循環器内科の牧山研究室、CiRA研究所の山中研究室と共同研究を行っている。また、遺伝子異常の検索については、遺伝性不整脈のみならず、たとえば不整脈源性右室心筋症などの遺伝性が明らかな循環器疾患に対しても、検索を広げている。とくに最近、注目されている小型次世代シークエンサー(personal NGS:今年度中に購入予定、なお、大型NGSはすでに当大学共同実験室に設置すみ)を用いたエクソーム解析も従来のSanger法による解析と同時進行で行い、新規の遺伝子やgenetic modifierの発見に繋げる予定である。
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Research Products
(71 results)