2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規標的分子同定に基づく自己免疫・喘息疾患に対する抗体医療の開発
Project/Area Number |
23390260
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
奥村 康 順天堂大学, 医学部, 特任教授 (50009700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋葉 久弥 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60338316)
小島 裕子 順天堂大学, 医学研究科, 助教 (60231312)
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Keywords | コラーゲン誘発性関節炎 / TIM-4 / 抗炎症作用 |
Research Abstract |
本研究は、自己免疫疾患や喘息・アレルギー疾患治療をターゲットにした薪規抗体医療の開発のために、新たな標的分子の同定を目指すことを目的とし、候補分子として炎症惹起に関与すると考えられる細胞表面分子TIM-4に対するモノクローナル抗体をコラーゲン誘発性関節炎(CIA)に投与して治療の有用性について検討を行った。結果、CIA誘導初期投与では関節炎の増悪が観察された。リンパ節CD4-T細胞を再刺激した結果、IFN-γとIL-17の産生亢進が認められた。またCD4 T細胞にTIM-4-lgが結合することが確認できたが、これらの細胞に既知のレセプターであるTIM-1,PtdSer,LMIR5の発現は見られなかった。従ってCIA誘導初期におけるTIM-4は、CD4 T細胞と未同定のレセプターを介して結合し、抑制性のシグナルを伝達している可能性が示された。一方、CIA誘導後期に投与を行った場合、関節炎の抑制効果が認められた。注目すべき点として、この抑制効果は発症後早期および後期に投与しても有意に認められた。そのメカニズムとして、リンパ節CD4 T細胞の機能、血清中の抗CII抗体価に変化がなかったことから、TIM-4はCD4 T細胞とB細胞の関与なしに抗炎症作用を発揮すると考えられた。これを証明する為、さらにT・B細胞非依存性の抗CIIカクテル抗体誘発性関節炎(CAIA)マウスを作製して抗TIM-4抗体の効果検討を行った。結果、LPSとともに抗CIIカクテル抗体を免疫し、抗TIM-4抗体を投与すると関節内の炎症性サイトカインIL-6,IL-1βの産生低下とともに関節炎の抑制効果が認められた。このことからCIA誘導後期および発症後においてTIM-4は、マクロファージやマスト細胞などの炎症性細胞に作用し、機能を亢進させて病態悪化に関与していると考えられる。以上全ての結果から、TIM-4分子は関節炎発症と病態形成において二つの異なる役割を持つことが明らかとなり、発症後に抗TI-4抗体を投与しても病態が軽減されたことから、TIM-4がヒト関節炎の治療を目指した新たな標的分子となりうる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ovalbumin(OVA)誘発性マウス喘息モデルに抗TIM-4抗体投与を行った場合にも、ほぼCIAと同様に結果が出ており、現在メカニズムの解明を行っている。Th2サイトカイン分子による免疫制御の解析実験もすでにマウスIL-33R(ST2)に対する抗体を作製し、各種疾患モデルマウスに投与を行い生体内機能の解析が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
タイプIIコラーゲン誘発性関節炎マウスや喘息モデルマウスに抗TIM-4抗体の投与を行った結果、TIM-4は未知のレセプターとの結合によりCD4 T細胞に抑制シグナルを伝える可能性を示しており、現在この未知のレセプターの同定に取り組んでいる。またTIM-4はマクロファージやマスト細胞などの炎症性細胞に作用し、これらの細胞の機能を亢進させ病態悪化に関与することも示されたことから、抗炎症作用のメカニズム解明は最重要課題であり、現在集中的に解析を進めている。
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[Journal Article] Anti-T cell immunoglobulin and mucin domain-2 monoclonal antibody exacerbates collagen-induced arthritis by stimulating B cells2011
Author(s)
Kawamoto, T., Y. Abe, J. Ito, F. Makino, Y. Kojima, Y. Usui, J. Ma, S. Morimoto, H. Yagita, K. Okumura, Y. Takasaki, and H. Akiba
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Journal Title
Arthritis Res Ther
Volume: 13
Pages: R47
DOI
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