2011 Fiscal Year Annual Research Report
GATA1転写因子の質的・量的異常による白血病発症の仕組みの解明
Project/Area Number |
23390266
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
伊藤 悦朗 弘前大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20168339)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土岐 力 弘前大学, 大学院・医学研究科, 講師 (50195731)
|
Keywords | ダウン症候群 / 21番染色体 / 巨核球性白血病 / GATA1 / 転写因子 |
Research Abstract |
Down症新生児の約10%に前白血病TAMが発症し、その20%は骨髄性白血病(ML-DS)を発症する。GATA1の質的・量的異常による白血病発症の仕組みを解明することを目的として、本年度は以下の研究を進めた。 1.GAIA1ノックダウン(KD)マウスの巨核球を用いてGATA1 IDなどの変異GAIA1蛋白の機能解析を行った。GATA1を欠損した胎児肝由来巨核球は異常増殖するが、レトロウイルスベクターを用いて変異GATA1を強制発現させ、異常増殖を抑制する最小領域を同定した。その結果、84番目のセカンドメチオニン近傍に存在するRB結合配列が最小領域として同定された。しかし、免疫沈降法を用いて解析したが、GAIA1とRBやE2Fとの結合の証明をすることができなかった。同様の実験結果は、ML-DS細胞株KPAM1を用いても得られた。現在、この領域に結合する未知の分子の同定を進めている。 2.我々は、変異GATA1蛋白(GAIA1s)の低発現変異は白血病発症のリスクファクターであることを発見した。そこで、GATA1sの発現量が、白血病発症にどのような仕組みで影響するかを明らかにする目的で、TAM細胞やML-DS細胞株のGATA1s発現量を、過剰発現系やsiRNAを用いて修飾し解析を進めた。また、様々なGATA1遺伝子変異を持つTAMの臨床検体を用いて、発現アレイで網羅的な発現解析を行った。その結果、GATA1s高発現変異をもつTAM細胞は、GATA1s低発現変異を持つTAMに比べて、巨核球特異的遺伝子の発現量が上昇していることが明らかになった。これらの結果は、GATA1sの発現量がTAMの巨核球分化に影響することを示唆している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
巨核球やML-DS細胞の異常増殖を抑制するGATA1の最小領域(RB 結合配列)を決定することができた。また、GATA1sの発現量がTAMの表現型に影響を与える仕組みの一端を明らかにすることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
TAMやML-DS発症に関わるGAIA1の最小領域(RB結合配列)を同定できた。しかし、予想に反して、RBの結合を証明することができなかった。今後、この領域に結合する未知の分子の同定をさらに進める予定である。
|
Research Products
(10 results)