2011 Fiscal Year Annual Research Report
難治性膵がんに対する革新的膵灌流療法の開発と臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
23390306
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
村田 智 日本医科大学, 医学部, 准教授 (80322501)
|
Keywords | 膵 / 灌流療法 / 経皮的 / 注入速度 / 膵浮腫 / 急性期障害 / 亜急性期障害 |
Research Abstract |
本研究は難治性膵がん治療のための革新的新技術の開発・臨床応用を目的とし、平成23年度は前臨床研究としての動物(ブタ)を用いた客観的な安全性を得るための研究を行った。以前の研究で問題となっていた注入速度を120ml/min以上にすると経皮的膵灌流療法後の病理検査で膵に浮腫性変化を来すことが確認されている。平成23年度は注入速度を70,90,110ml/minの3群に分け30分間の膵灌流療法を施行した。110ml/minの群では最初の1頭で膵浮腫を生じたため、この群での実験は終了とした。また、90ml/minの群では3頭中1頭で膵浮腫を認めた。70ml/minの群では3頭中0頭(0%)であった。また、追加実験として1頭で80ml/minの注入速度で実験を行ったが膵浮腫は生じなかった。膵組織内抗がん剤(シスプラチン)濃度(膵の頭部・体部・尾部の組織内薬剤濃度を測定して薬剤の分布を分析)は体部が高く、頭部、尾部の順であった。以上の結果より注入速度70ml/minでは膵組織の安全性を十分確保出来ると考えられた。 続いて次の課題である膵灌流後の急性期・亜急性期の障害の有無およびその程度の検討を現在行っており、治療後1週間の膵機能検査を主体に経時的(術前・術後1,3,5,7日目)に血液を採取し、得られた採血データを検討すると同時に治療1週後にブタを全身麻酔下に開腹し、膵・肝・大腸・小腸を摘出して病理学的検討を行っている。まだ1頭のみであるが、術後1日目には食欲も旺盛となっており臨床前研究として良好な結果を十分期待できると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究計画はすでに終了しており、24年度の研究計画が現在進行中であるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
膵灌流療法を安全域の注入速度70ml/minで5頭施行して急性期・亜急性期の障害の有無およびその程度の検討(Grade 3以上の障害度の有無)を行う。連続する5頭全頭で安全性について十分に検討・分析を行い、足りないデータがあれば追加実験を行う。膵灌流療法の臨床試験に必要なデータが全て得られたら、倫理委員会へ書類を提出し、臨床試験を行う。
|
Research Products
(8 results)