2011 Fiscal Year Annual Research Report
チオレドキシン及び補体阻害ペプチドを基盤とした糖尿病に対する次世代細胞療法の創成
Project/Area Number |
23390310
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
後藤 昌史 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (50400453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増谷 弘 京都大学, ウイルス研究所, 准教授 (50252523)
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Keywords | 移植・再生医療 / 糖尿病 / 細胞・組織 / 膵島 |
Research Abstract |
膵島移植は細胞療法という最先端医療技術の中でも、最も社会的なインパクトの大きい糖尿病根治療法である。膵島移植はこれまで主流であった膵臓移植に比し、安全・簡便・低侵襲といった多くの利点を備えた患者に優しい画期的治療法であるため、欧米の一部では既に保険適応となっている。しかし、一人の患者の治癒に複数ドナーを要するという致命的課題を有しているため、ドナー不足が深刻な我が国においては一般医療に至っていないのが現状である。本研究においては、我々のこれまでの移植後早期グラフト障害に関する研究成果に基づき、チオレドキシンおよび補体阻害ペプチドに基づく原始免疫制御法の導入により膵島グラフトの生着促進を試み、膵島移植を糖尿病に対する理想的低侵襲治療法として確立する事を目的としている。H23年度は、まず温阻血障害や冷阻血障害といった臓器保存に伴う阻血障害がグラフト自身の炎症性メディエーター産生や機能へ及ぼす影響に関し、解析を実施した。その結果、冷阻血障害により膵島収量が大きく影響を受け、そこに温阻血障害が加わることにより、移植後の膵島グラフト生着を妨げる炎症起因性メディエーターであるTissue factor、MCP-1、MIFなどが著しく誘導させることが明らかとなった。また、阻血障害により先にダメージを被る組織は膵外分泌組織であり、膵島は膵外分泌組織に比べると比較的阻血ストレスに耐性を有しており、初期における有効なプロトコールの導入などにより、阻血障害ストレスの影響から回復し得ることが示唆された。次に、この阻血障害からグラフトを保護するプロトコールの確立に取り組み、リコンビナントタイプのヒトチオレドキシンと副腎皮質コルチコイドを組み合わせることにより、相乗的に強い抗炎症効果を発揮することが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リコンビナントタイプのチオレドキシン入手に予定以上の時間を要したが、その他は概ね計画通りに進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
特に大きな問題点は見当たらないため、当初の計画通りに推進していく予定である。
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Research Products
(17 results)