2012 Fiscal Year Annual Research Report
チオレドキシン及び補体阻害ペプチドを基盤とした糖尿病に対する次世代細胞療法の創成
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23390310
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
後藤 昌史 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (50400453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増谷 弘 京都大学, ウイルス研究所, 准教授 (50252523)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 移植・再生医療 / 糖尿病 / 細胞・組織 / 膵島 |
Research Abstract |
膵島移植は細胞療法という最先端医療技術の中でも、最も社会的なインパクトの大きい糖尿病根治療法であるが、一人の患者の治癒に複数ドナーを要するという致命的課題を有しているため、ドナー不足が深刻な我が国においては一般医療に至っていないのが現状である。本研究においては、我々のこれまでの移植後早期グラフト障害に関する研究成果に基づき、チオレドキシン(TRX)および補体阻害ペプチドに基づく原始免疫制御法の導入により膵島グラフトの生着促進を試み、膵島移植を糖尿病に対する理想的低侵襲治療法として確立する事を目的としている。H24年度は、H23年度に引き続き、リコンビナントタイプのTRXを経膵管アプローチで投与した膵臓を使用し、阻血障害下においてTRXが膵島グラフトへ及ぼす影響に関し解析を行った。その結果、TRXは阻血障害により分離膵島から放出されるMCP-1などの炎症性メディエーターを有意に制御するが、膵島の収量を維持する効果は大きくないことが判明した。一方、強い抗炎症作用を有するグルココルチコイドは、分離膵島の収量を飛躍的に増加させることが判明した。さらに両剤を組み合わせる事により、分離膵島の収量およびviabilityが有意に改善され、阻血障害下においても分離膵島を十分に保護し得ることを見出した。次に、TRX過剰発現マウス、およびリコンビナントタイプのTRXを使用して膵島移植実験を実施し、TRXによる炎症性メディエーター制御およびグラフト保護効果について検証した。その結果、移植膵島に限局したTRXの発現だけでは膵島生着促進には不十分であるが、TRXの全身投与は、酸化ストレスではなく血清IL-1の抑制を介して移植膵島保護効果を発揮することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TRX過剰発現マウスが、予想に反しSTZ誘導性の糖尿病に対して極めて耐性が低いことが判明したため、移植実験において長期の観察が不可能となったが、TRXによるグラフト保護効果を検証する上では十分であった。それ以外の計画は概ね計画通りに進行しているため、上記の様に判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
特に大きな問題点は見当たらないため、当初の計画通りに推進していく予定である。
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Research Products
(8 results)