2012 Fiscal Year Annual Research Report
次世代型統合的ゲノム解析による食道癌の治療効果予測アルゴリズム構築と分子標的探索
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23390325
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
井本 逸勢(橘逸勢) 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30258610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹黒 章 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10197593)
楊河 宏章 徳島大学, 大学病院, 准教授 (50263827)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 食道癌 / ゲノム / 遺伝子 / エピゲノム / トランスレーショナルリサーチ |
Research Abstract |
食道扁平上皮癌(ESCC)の「個別化医療」実現のため、詳細な臨床情報を付帯した高品位臨床検体を対象に次世代テクノロジーを駆使して抽出するOmics情報から、ESCCの新たな悪性度や治療効果予測アルゴリズムを構築すると共に分子標的治療の標的遺伝子候補探索を目的に研究を推進し、23年度に引き続き24度は以下の成果を得た。 1. ESCC臨床例からの臨床検体と派生するバイオリソース、臨床情報収集: 体系化されたプロトコールで治療されたESCC臨床例についての凍結組織とパラフィン包埋組織の収集ならびに臨床情報データベース作成を、(1)術前化学療法または化学療法単独、(2)術前化学放射線療法または化学放射線療法単独、(3)化学放射線療法の適用例の術前後を対象に行った。口腔扁平上皮癌を含め癌細胞株も追加収集した。 2. ESCCのOmics解析: 次世代シーケンサーによる配列解析、アレイによるゲノムコピー数・DNAメチル化解析、次世代シーケンサー・アレイによる遺伝子発現解析のデータ収集と情報の統合を進め、コピー数解析による予後予測因子を同定した(Cancer Sci 2012)。メチル化ならびにシーケンスデータの統合解析によるドライバー変異同定や治療反応予測因子の解析は継続して行い情報の検証段階まで進めることができた。 3. 口腔癌、肺癌、乳癌、肝癌などESCC以外の様々な腫瘍についても解析プラットフォームが有用であることを確認し、ゲノム・エピゲノム異常の標的遺伝子同定を進めることができた(Clin Can Res,2012; Oncogene 2012他)。 これらの結果から、本課題で構築されたシステムにより、引き続き情報解析を進めることでESCCをはじめとする各種癌の診断・治療標的同定達成が期待できることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
体系化されたプロトコールで治療されたESCC臨床例の収集は、計画どおり進行している。 ゲノム・エピゲノム解析に関する技術・情報解析プラットフォームの構築と検証についても、次世代シーケンサー系の稼働とデータ取得、マイクロアレイ系の稼働とデータ取得並びに解析による有用性の確認が進んだ。 マイクロアレイ解析と次世代シーケンス解析とを併用して研究期間を有効に使ったデータ取得を行えた結果、成果としても、ESCCならびにその他の癌種についての予後予測因子の抽出が行えることを実証でき、一部の成果については学会発表や論文の形で報告できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、申請時に24年度以降として計画した通り臨床症例リソース収集とOmics解析を継続すると共に、最終年度であることからOmics情報と臨床情報との統合情報解析を加速してさらなるESCCの診断・治療標的候補の同定を進め、治療効果アルゴリズムの構築とそのバリデーションならびに治療標的候補癌関連遺伝子の探索を行う。 この中で、次世代シーケンサー・マイクロアレイによる大量のゲノム・エピゲノム解析データの集積はデータ解析とその統合の計算機環境を圧迫していることから、サーバーの補充などによる早急な計算機環境整備が必要である。 予測される困難点の一つに挙げた臨床症例数の集積不足については問題なく進んでいる。 一方で、予定していたexosomeの解析については、直接術前生検を含めた腫瘍から得られるデータのほうが得られる情報量、特異性、感度が高いことから、研究期間内での腫瘍サンプルの解析を優先させることで、効率よくより確度と有用性の高い治療効果アルゴリズムの構築と治療標的候補癌関連遺伝子の探索を行う。
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Research Products
(12 results)