2012 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素微小環境における胃癌細胞の悪性形質獲得の機序解明と治療標的分子の探索
Project/Area Number |
23390329
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
八代 正和 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60305638)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 癌微小環境 / スキルス胃癌 / 筋線維芽細胞 |
Research Abstract |
線維芽細胞は胃癌の増殖・進展に関与していると考えられ、中でもα-SMA陽性の筋線維芽細胞の関与が示唆されている。しかしながら、癌微小環境における筋線維芽細胞の発現調節のメカニズムは明らかにされていない。本研究は、そのメカニズムを明らかにすることを目的とした。方法は、胃癌間質より樹立した2種類の線維芽細胞(CaF-29, CaF-33)と正常胃壁より樹立した線維芽細胞(NF-29)、および4種類のスキルス胃癌細胞株(OCUM-2MD3, OCUM-12)と非ヒトスキルス胃癌細胞株(MKN-45、MKN-74)を用い、共焦点蛍光顕微鏡にてα-SMA, Vimentin, DAPIで3重標識し線維芽細胞中の筋線維芽細胞の発現割合を継代別に調べ、ウェスタンブロット法にても同様に筋線維芽細胞の発現を検討した。またReal-time RT-PCR法にて胃癌細胞上清、TGF-βを添加しα-SMA mRNAの発現の変化を検討した。その結果、共焦点蛍光顕微鏡、ウェスタンブロット法にて筋線維芽細胞の発現率はNF-29よりCaF-29で有意に多く、継代ごとにその発現率は有意に低下した。TGF-βを添加することによってCaFのα-SMAの発現は有意に増加した。スキルス胃癌細胞より抽出した培養上清を添加することによりCaFのα-SMAの発現は有意に増加したが非スキルス胃癌からの培養上清では増加しなかった。またスキルス胃癌細胞の培養上清によるCaFのα-SMAの発現の増加はTGF-βの中和抗体およびSmad2 SiRNAにて有意に抑制された。以上の結果よりスキルス胃癌間質中には筋線維芽細胞の発現が多く、それにはスキルス胃癌細胞から産生されるTGF-βが深く関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の研究により、胃癌間質においてスキルス胃癌細胞により筋線維芽細胞の発現が亢進し、それがスキルス胃癌細胞が産生するTGF-βの関与を深く示唆するものであり、この知見はスキルス胃癌と癌間質の相互作用における増殖進展機序解明に寄与するものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
スキルス胃癌と癌間質の相互作用の観点から、筋線維芽細胞が癌細胞に対しどのような影響をおよぼすかについて、増殖・浸潤能の観点から検討する。また低酸素環境が増殖・浸潤能にどのような影響をもたらすか、通常酸素環境と比較し検討する。
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[Journal Article] Role of the stemness factors sox2, oct3/4, and nanog in gastric carcinoma2012
Author(s)
(Matsuoka J), Yashiro M,, Sakurai K, Kubo N, Tanaka H, Muguruma K, Sawada T, Ohira M, Hirakawa K.
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Journal Title
The Journal of surgical research
Volume: 174
Pages: 130-135
DOI
Peer Reviewed
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