2012 Fiscal Year Annual Research Report
膠芽腫の分子標的治療耐性関連遺伝子群の機能解析とそれに基づく新規治療法の創出
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23390343
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武笠 晃丈 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90463869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 実 東京大学, 医科学研究所, 講師 (50332581)
齊藤 邦昭 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50446564)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 膠芽腫 / 分子標的治療 / 治療耐性 / EGFR / 脳腫瘍幹細胞 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、分子標的治療耐性に関連する遺伝子群(SDeltaEs)の発現を調べる対象であるヒト悪性神経膠腫臨床材料の収集を行い、これを分類するためのゲノム異常の解析を行った。これには、IDH1遺伝子変異、染色体1p19qヘテロ接合性の消失、TP53遺伝子変異などに加え、近年発見されたTERT遺伝子プロモーターの変異を含む。これにより、IDH1変異を持たない悪性度の高い膠芽腫にTERT遺伝子プロモーター変異が高率に認められることが明らかとなった。また、膠芽腫手術検体を利用した、脳腫瘍幹細胞株の樹立を継続的に行い、その腫瘍原性をマウス移植実験によって確認した。このようにして収集した臨床検体を利用して、SDeltaEs遺伝子のいくつかにおいて、悪性度の高い神経膠腫や脳腫瘍幹細胞に高発現しているものを、主に定量的PCRを用いて同定した。 SDeltaE遺伝子群のいくつかを用いて、その働きを阻害または活性化させることで、腫瘍の増殖が抑制または促進されるかを、in vitro 及びヌードマウスにおける腫瘍形成能などを指標に解析した。この結果、発現阻害により腫瘍の増殖能を減弱させるもの、浸潤能を減弱させる分子をそれぞれ同定することができた。 前述のようなアプローチの他に、治療により耐性を得た実際の臨床検体をもちいたプロファイル変化の解析を行ったところ、治療耐性を得た腫瘍にはメチル化プロファイルの変化をきたしていることが明らかとなった。このような悪性化に伴うメチル化プロファイル変化が多数検体にて生じることを確認でき、今後SDeltaE遺伝子発現との関連の検証が期待された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的としては、まず、分子標的治療耐性に関連する遺伝子群(SDeltaEs)のうち、より悪性度の高い神経膠腫や脳腫瘍幹細胞にて高発現のものを同定することであった。その点において、複数の該当する遺伝子を既に同定し、さらに当該年度においては、そのin vitro、及びマウスでの腫瘍浸潤能・増殖能の解析を行うことができている。また、臨床検体の解析から、メチル化プロファイルの変化と、このような治療耐性関連遺伝子が関連していることも示唆する新たな知見を得ることもできている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで複数の分子標的治療耐性に関連する遺伝子群(SDeltaEs)において、腫瘍増殖能との関連をvitro、及びマウスにて検証しているが、SDeltaEs遺伝子は、in vitroでの効果より、マウスにおける役割が大きいと考えられる。しかし、マウスでの解析は high-throughputとはいえないため、今後、SDeltaE遺伝子昨日の in vitroでの効率的なassayを確立していきたい。
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