2012 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的解析を組み合わせたスギ花粉症に対する遺伝子多型からの発症予防と治療戦略
Project/Area Number |
23390397
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
藤枝 重治 福井大学, 医学部, 教授 (30238539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 恵美子 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (40344882)
坂下 雅文 福井大学, 医学部附属病院, 助教 (40555455)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | スギ花粉症 / アレルギー性鼻炎 / CST-1 / tight junction / 上皮 / パパイン / protease inhibitor |
Research Abstract |
これまでの網羅的遺伝子発現において、スギ花粉症患者において健常人に比べ、CST-1の発現が鼻粘膜において有意に高いことを見出した。そこでそれを再確認すべく、鼻粘膜上皮細胞をスギ花粉飛散中に、細胞診用ブラシで数回擦過し採取した。採取した細胞をすぐにTRIzol (Invitrogen, Leek, the Netherlands)に溶解し、-80℃で保存した。Total RNAの抽出には、miRNeasy Miniキット(QIAGEN, Valencia, CA, USA)を用いた。抽出したtotal RNAからcDNAを合成し、定量的PCRを行った。その結果、CST-1のスギ花粉症患者における鼻粘膜局所での産生亢進が確認できた。抗CST-1抗体を用いた免疫組織化学では、鼻粘膜においてCST-1の発現が認められた。そこでヒト鼻粘膜を用いて、CST-1の発現亢進機序を検討した。各種サイトカン、ケモカインを用いて刺激を行い、定量的PCRを行った。その結果、パパイン刺激によって産生が亢進した。CST-1はprotease inhibitorであり、protease であるパパインによって誘導されることは合目的なことであった。抗原には各種proteaseを含むのでスギ抗原そのものでの刺激を行うと同様にCST-1の産生は亢進した。その際上皮組織固有の接着装置であるtight junctionの一つであるZO-1の発現が低下した。さらにOcculudinとclaudinの発現も低下した。また、E-cadherinの発現も低下させた。こららのことはCST-1が抗原の侵入を阻止し、細胞浸潤を抑制する方向に働くことを意味している。呼吸粘膜上皮細胞株においてCST-1高発現株と低発現株を遺伝子導入において作成し、tight junctionを調べると同様のことが認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リコンビナントApolipoprotein A4(ApoA4)の作成に時間がかかった。またApoA4ノックアウトマウス作成においてBL6マウスの作成をしたら、全くアレルギー反応を示さなかったので、現在BALB/c マウスにバッククロスしている。この二つのことで研究が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
リコンビナントApoA4を大量に作成した。Apolipoprotein A4(ApoA4)欠損マウスをBALB/c にバッククロス5回行い、増殖中である。作成したApoA4を用いて大型動物およびApoA4欠損マウスにおけるアレルギーモデルでの検討を行う。 CST-1の発現ベクターおよびSiRNA導入による高発現株と低発現株を作成し、その細胞でのマイクロアレーを行うことで、細胞内でイベントを明確にする。
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