2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23390422
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
米田 俊之 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (80142313)
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Keywords | 骨痛 / プロトン / 骨転移 |
Research Abstract |
平成23年度は癌性骨痛を効率的に再現できる動物実験モデルの作成を試みた。癌細胞として高頻度に骨転移を示すヒト乳がん細胞のMDA-MB-231、ラット肺がん細胞IP-B12を用いた。腫瘍の大きさを組織学的に検討し、さらに骨痛の評価をプランターテスト、グリップフォーステスト、Von Freyテストおよびインキャパシタンステストでタイムコースを取り腫瘍の大きさと痛みの相関関係を評価した。その結果、IP-B12細胞を脛骨内に接種された動物は、歩行障害や、荷重による疼痛からの逃避行動など、行動学的に骨痛の病態を示した。レントゲン検査では、いずれの動物モデルにおいても、ヒトの癌患者に類似した溶骨性病変が認められた。さらに、上記の疹痛評価方法によって客観的な骨痛評価方法も有効であることが示されたことから、再現性の高い動物実験モデルとしてIP-B12細胞を脛骨に直接摂取する癌性骨痛誘発モデルの確立に成功した。 この動物実験モデルを用いて骨痛の分子メカニズムを解明するためのアプローチとして、平成23年度は後根神経節(DRG)よりRNAを採取しマイクロアレイ解析による遺伝子プロファイリングを行った。IP-B12細胞を接種した側のDRG、および接種していない正常のDRGを採取し、通法にしたがってマイクロアレイ解析を行った結果、腫瘍接種により上昇する遺伝子として36遺伝子、減少する遺伝子として42遺伝子がクローニングされた。上昇した遺伝子群の中には痛みへの関与が報告されているP2rx7 (purinergic receptor P2X, ligand-gated ion channel, 7)が含まれており、本研究で行ったマイクロアレイ解析が有効であることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は当初の目標であった、がん性骨痛誘発動物実験モデルを確立することができた。今後この動物実験モデルを用いることにより、骨痛に関与する遺伝子の同定や新規骨痛緩和薬のスクリーニングに応用可能となる。骨痛を制御する遺伝子の同定に関しては、DRG(後根神経節)からのRNA回収とマイクロアレイ解析を終えていることから、研究はおおむね順調に進行していると評価してよい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、癌性骨痛モデルマウスのDRGにて発現誘導された遺伝子を絞り込み、酸性環境により制御される骨痛誘発物質または転写制御因子の絞込みを行う。そのために、ラットより採取したDRGを酸性環境下にて24時間培養した後、変動する遺伝子をマイクロアレイ解析によりピックアップし、疼痛誘発動物実験モデルで誘導された遺伝子群とオーバーラップする遺伝子を候補遺伝子としてクローニングする。そして、酸性刺激による発現制御メカニズムを分子レベルで解析すると共に、候補遺伝子が痛みに関与するか否かを阻害剤または遺伝子改変マウスを用いて検討する予定である。
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Research Products
(4 results)