2013 Fiscal Year Annual Research Report
象牙質再石灰化・再生技術を基盤とした新規う蝕治療法の開発
Project/Area Number |
23390436
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
斎藤 隆史 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40265070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
半田 慶介 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (40433429)
伊藤 修一 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (50382495)
別所 和久 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90229138)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 象牙質再石灰化 / 再生象牙質誘導 |
Research Abstract |
我々の最終目標は、石灰化誘導性接着性モノマーCMETあるいは象牙質誘導性フォスフォフォリン部分ペプチドの再石灰化促進作用および歯髄細胞から象牙芽細胞への分化誘導活性について検討して、効果的な齲蝕治療材料を開発するための知見を得ることである。 本年度は、まず、石灰化誘導性接着性モノマーCMETを今後治療材料として利用する際の材料中でのCMETの種々の挙動を調べた。その結果、コート系接着性材料にCMETを添加することにより、象牙質接着に関して微小引張強さが向上し、樹脂含浸層直下の硬さが上昇し、接着界面で良好な接着状態が得られることが分かった。また粘弾性が上昇し、接着界面の耐久性が向上することも明らかになった。さらに材料から溶出するカルシウムイオンが接着界面での再石灰化を促進することが明らかになった。 次に、フォスフォフォリン部分ペプチドを用いて直接覆髄実験をラットを用いて実施し、再生象牙質誘導活性について検討を行った。その結果、フォスフォフォリン部分ペプチドSESDNNSSSRGDASYNSDES(RGD-1)が覆髄後、2週、4週で、これまで直接覆髄材として長い歴史を持つ水酸化カルシウム製剤の結果と比較して、多量に緻密な再生象牙質が誘導されることが明らかになった。また歯髄被覆能力も高いことが分かった。さらに、材料により惹起される歯髄組織の炎症の程度も水酸化カルシウム製剤と比較すると非常に低く、安全性の高い再生象牙質誘導材料であることが明らかになった。 以上の結果から、石灰化誘導性接着性モノマーCMET、象牙質誘導性フォスフォフォリン部分ペプチドを利用した接着性う蝕治療材料は再石灰化を促し、象牙質再生を強く誘導する材料となりうることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの達成度に関しては、当初の計画どおり、石灰化誘導性接着性モノマーCMETを今後治療材料として利用する際の材料中でのCMETの種々の挙動を調べるためにコート系接着性材料にCMETを添加したところ、象牙質接着に関して微小引張強さが向上し、樹脂含浸層直下の硬さが上昇し、接着界面で良好な接着状態が得られることが分かった。また粘弾性が上昇し、接着界面の耐久性が向上することも明らかになった。さらに材料から溶出するカルシウムイオンが接着界面での再石灰化を促進することが明らかになった。 また、象牙質再生実験において、多量に緻密な再生象牙質が誘導されること、歯髄被覆能力も高いこと、惹起される歯髄組織の炎症の程度も水酸化カルシウム製剤と比較すると非常に低く、安全性の高い再生象牙質誘導材料であることが明らかになった。 このように一定の良好な結果を得ているため、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、今後さらに、石灰化誘導性接着性モノマーCMETあるいは象牙質誘導性フォスフォフォリン部分ペプチドの活性を効果的に引き出し、う蝕部分を再石灰化させ、再生象牙質を強力に誘導する条件を見出し、材料の規格化を実施することにより効果的な齲蝕治療材料の試作を行いたいと考える。
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