2012 Fiscal Year Annual Research Report
多糖類-骨形成因子複合化3次元造形スキャフォールドによる骨誘導性移植材料の開発
Project/Area Number |
23390454
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
河合 達志 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (60167351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 初彦 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (30175591)
鶴田 昌三 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (40183488)
林 達秀 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (70367621)
上野 温子(石川温子) 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (70469013)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 生体材料学 |
Research Abstract |
前年度までに、電子ビームによる3次元造形法を用いて純チタン製スキャフォールドを作製し、これに骨形成因子(BMP)を複合化してその新生骨形成能を調べた。この結果、移植全例において良好に新生骨を形成することに成功したが、スキャフォールドの内部に新生骨誘導を行なう事はできなかった。これに対処するため、当初の計画どおりプラズマ処理による表面改質の基礎実験を開始した。 しかしながら、これと並行して、従来用いている高活性の部分精製BMPに替わり、低活性ではあるが粘性係数の調整が容易なリコンビナントBMPを用いて同様の実験を行なった。この結果、内腔を有するスキャフォールドにおいて初めて新生骨の誘導に成功した。使用したスキャフォールドはこれまで同様の純チタン製を用いて、内部の細孔にBMPが深く侵入するように複合化を試みた。得られた新生骨は非脱灰標本上において明瞭にスキャフォールド内部に骨髄様組織と硬組織を誘導しており、特に純チタンスキャフォールドと接触した部分に硬組織が誘導されている事が観察された。この結果はきわめてエポックメイキングであり、今後の実験手法を簡略かつ、臨床に近い段階にまで切り開く道筋が得られたものと考える。 キャリアには低粘度デキストリンを用いており、この効果も大きいことが推定されるため、次年度は3次元造形純チタンスキャフォールドとデキストリン、リコンビナントBMPの三者を結合する最適条件の確定に向けて実験を集中する予定である。さらに、現在は移植3週間における評価を行なっているが、長期間の評価並びに、3次元CTによる評価、組織標本の元素分析を行なう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでの当グループが行なって来た実験系ではスキャフォールド内部に新生骨を誘導する事が困難であり、これを解決するためにスキャフォールド表面の改質処理、キャリアの粘性調節の検討などを行なう予定としていた。 しかしながら、並行して行なったリコンビナントBMP-デキストリンキャリアを用いた実験系が初めてスキャフォールド内部に新生骨を誘導する事に成功し、この実験成果から当初計画していたスキャフォールドの改質処理などは行なう必要がなくなり、3次元スキャフォールドによって目的形状の新生骨を誘導する実験に集中する事が可能となった。 このように実験の進捗は予定よりも速く進行しており、当初の目的に十分に達する事ができるものと予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた目標に既にかなり近づいているため、早急に最終目標の3次元形態を制御した新生骨誘導実験を完了したい。 また、時間的余裕が得られた事から臨床応用に向けて必須の長期間における誘導新生骨の運命機転に関しても実験を行なう予定である。 さらに、今回の実験の結果をより精査する意味で、プラスチック系のスキャフォールドに対しても同様の3次元造形を行ない、新生骨誘導を試みて、その結果を比較することも計画している。
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Research Products
(9 results)