2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23390458
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川村 仁 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00110651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成島 尚之 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20198394)
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Keywords | デンタルインプラント / チタン / 非晶質リン酸カルシウム / RFマグネトロンスパッタリング / 再生骨 |
Research Abstract |
本研究は、骨表面に再生した骨へのデンタルインプラント応用を想定し、デンタルインプラント表面への吸収性非晶質リン酸カルシウムコーティングの有用性について、18匹のウサギと72本のデンタルインプラントを使用し生体内外の評価を行った。ウサギの左右大腿骨及び脛骨に1本ずつデンタルインプラントを埋入し、安楽死後にデンタルインプラントの表面観察、引き抜き試験、RFAによるISQ値の測定、非脱灰研磨標本での骨形成の測定について評価を行った。その結果、1)吸収性非晶質リン酸カルシウムコーティングは生体内で早期に吸収されること、2)周囲へのリン酸カルシウムの供給により非コーティング群に比べ骨形成が促進されること、3)骨形成に伴い非コーティング群に比べデンタルインプラントの安定度が向上されることを確認した。 デンタルインプラントが広く臨床の場に応用され、それにより受ける恩恵が多大なものであることに疑いの余地はない。しかしながら、再生骨は骨質不良や骨量不足も予想され、デンタルインプラントの適応においてはそのことも配慮することが求められる。本研究では、そのような従来のデンタルインプラントでは困難と思われた場合でも適応を可能とすることができる、新たなデンタルインプラントを開発するための研究である。また、平成24年度から今まで先進医療で行われてきた「インプラント義歯」が保険適応となり、今後腫瘍摘出後の患者や顎堤の高度委縮を来した症例へのデンタルインプラントのニーズが高まると考えられる。腫瘍摘出後や顎堤の高度委縮を認めた症例では多くの場合、骨量の不足、骨質の不良が指摘されてきた。本研究は、そのような比較的難易度の高い患者でも、デンタルインプラントによる恩恵を受け、口腔内の機能を回復し、QOLの向上を支える一助になると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究から生体内においてデンタルインプラント表面への吸収性非晶質リン酸カルシウムコーティングの有用性が示唆され、学会発表を行った。また、今までの研究内容を踏まえ、論文投稿をすすめている。並行して、本実験の裏付けとなるin vitro等の研究準備も進めており、来年度から研究を開始する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はディスク型チタンへ吸収性非晶質リン酸カルシウムをコーティングし、その表面でマウス骨芽様細胞株(MC3T3-E1)の培養を行うとともに骨骨膜間拡大部に埋入し検討を進める予定である。チタン表面で産生される骨形成タンパクについてRT-PCR、ELIZAを用いて計測し、またSEM等の画像解析装置を使用しディスク表面の観察を行うことで、本コーティング法の有用性を生体内外で評価するとともに再生骨のコントロールのための情報の採取を予定している。ディスクの大きさやコーティング膜の厚みについては現在検討中である。
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