2011 Fiscal Year Annual Research Report
加速度センサーを用いた運動疫学研究による肥満と歯周病の因果関係の解明
Project/Area Number |
23390483
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Field |
Social dentistry
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
嶋崎 義浩 九州大学, 大学院・歯学研究院, 准教授 (10291519)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 秋三 九州大学, 健康科学センター, 教授 (80145193)
清原 裕 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80161602)
山下 喜久 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (20192403)
|
Keywords | 歯周病 / 肥満 / 運動 / 運動疫学研究 |
Research Abstract |
肥満と歯周病との関連は数多く報告されているが、両者の関連のメカニズムは未だ明らかではない。肥満は運動と密接に関わっているが、近年の横断研究により運動と歯周病との関連が示されており、肥満や運動が歯周病に及ぼす影響やそれらの相互関係を調査することは、肥満と歯周病の因果関係を解明する糸口になると考えられる。本研究は、肥満・身体活動と歯周病との疫学的な関連を分析し、さらに血清中の歯周病細菌抗体価や炎症性因子を解析することで、肥満と歯周病の因果関係に及ぼす身体活動の影響およびそのメカニズムを解明することを目的とする運動疫学研究である。 本年度は、平成21年度に久山町で実施された歯科・医科・身体活動の疫学調査データの電子化、データの連結を行った。同データの分析より、加速度センサーにより測定された身体活動量と歯周病には有意な関連が認められ、身体活動量の多い者は歯周病リスクが低い結果であった。また、別の50歳代の男性集団の血清クレアチニン値と歯周状態の関連を分析したところ、正常範囲内の血清クレアチニン値の高い者は歯周病リスクが有意に低かった。クレアチニンは筋肉で合成され筋肉量に比例すると言われていることから、筋肉量の多い者ことを示す正常範囲内の血清クレアチニン値の高い者で歯周病リスクが低いことを示す結果は、運動と歯周病との関連を間接的に示唆するものと考えられる。また、他の成人集団においてメタボリック症候群と歯周病との関連について分析したところ、臨床的アタッチメントロスよりも現在の歯周組織の炎症状態を示唆するポケットデプスがメタボリック症候群とより強い関連を示していた。本年度は、久山町健診受診者の保存血清中の歯周病細菌抗体価および炎症性因子の測定を行ったことから、今後の研究でそれらを分析することにより肥満と運動および歯周病との関連への血清中成分の関与について明らかにできるものと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は分析に必要な疫学調査データの電子化と連結を行い、また、保存血清中の成分測定を実施したことから、肥満と運動および歯周病の疫学的な関連や疫学データと血清中成分との関連の分析を行う環境が整った。また、既存の疫学データの解析により、歯周病と血清クレアチニン値また歯周病とメタボリック症候群との関連性についての解析結果を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に準備を終えた疫学調査データおよび血清測定データを用いて、肥満、運動および歯周病の関連性についての統計解析を実行する予定である。平成24年度は、久山町において大規模住民健診が行われることから、一般健康診断項目に加えて歯科健診、加速度センサーを用いた身体活動調査を行う予定である。健診終了後のデータクリーニングにはかなりの時間と労力が必要になるものと思われるが、できるだけ速やかにデータを整備することで平成21年度の疫学調査データと連結することにより縦断的なコホートデータとして解析を行う準備をしたいと考えている。
|