2013 Fiscal Year Annual Research Report
癒し技法の実践によるケア提供者の心理的成長とケアの質の向上に関する研究
Project/Area Number |
23390489
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Research Institution | Tokyo Health Care University |
Principal Investigator |
近藤 浩子 東京医療保健大学, 医療保健学部, 教授 (40234950)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2015-03-31
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Keywords | 癒し / リラクセーション / 心拍変動 / 指先温度 |
Research Abstract |
癒し技法としてのタッチが,タッチの施行者にもたらす効果を明らかにする目的で実験を行った。 方法:被験者は自由意志で実験に参加した20代の健康な女子学生15名であった。被験者には,心身のバランスを整えるための呼吸法を5分間行った後,2人ペアになって10分間のタッチを交互に行ってもらった。ペアのタッチは3週間の間に計5回行ない,ペアの相手は毎回変えた。タッチの方法は,手をあてる相手の呼吸を感じながら相手の上背部に柔らかく手をあて,そのまま手の感覚に意識を保つ方法とした。タッチの施行者には,タッチを行っている間,自分の自律神経のバランスをディスプレイで見て確認できるように,心拍変動モニタ(LRR03)を装着してもらった。効果測定には,指先温度と質問紙を使用した。このほか3週間の実験の前後に,ストレス対処能力(SOC)と健康関連QOL(SF36)を測定した。 結果:呼吸法とタッチを行っている間,タッチの施行者全員に指先温度の上昇がみられた。被験者15名の指先温度の平均は,呼吸法開始時が32.9℃,タッチ開始後3分目がピークの34.7℃で,その後は横ばいになっていた。上昇温度は平均1.8℃だった。5回の実験結果はほぼ同様であった。一方,SOCとSF36については,3週間の実験の前後で値に有意差はなかった。 考察:指先温度の上昇はリラックス状態を示すことから,癒し技法としてのタッチは,タッチ施行者自身にリラックスをもたらしたといえる。しかしながら5回のタッチの実践では,ストレス対処能力や健康度に変化を及ぼすには至らなかった。 なお本実験の心拍変動解析と実験後に行ったインタビューの結果については,平成26年度の学会で報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初に計画した実験はほぼ予定通りに終了し,データの解析も終わって,次年度の学会発表に向けて準備が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の実験結果は,学会発表だけでなくワークショップ等でも公開し,今後の研究に向けて幅広い意見を収集する計画である。また次年度はこれらを踏まえて実験計画を修正し,タッチの効果がより高まるように方法を改善し,臨床応用に向けた実験を行う予定である。
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Research Products
(1 results)