2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23401021
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Section | 海外学術 |
Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
大高 洋司 国文学研究資料館, 研究部, 教授 (60152162)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 日本 / 韓国 / 古典籍 / 交流 / 書誌学 |
Research Abstract |
1.第4回日韓古典籍交流会の実施。日時・場所:2013年7月31日(水)14:00~17:30、韓国国立中央図書館地図資料室 内容:中央図書館所蔵日本古典籍の善本報告(入口敦志「仮名草子に見る和様化の諸相」、大高洋司「『夢想兵衛胡蝶物語 後編』」、金田房子「『おくの細道』等」、黒石陽子「初期草双紙三種」)、韓国古典籍研究報告(鄭陳雄「韓国の文集について」)。韓国語・日本語による通訳付き。参加者37名。 2.韓国国立中央図書館における日本古典籍善本選定作業の実施(2013年7月30日・31日午前・8月1日午後・8月2日)。 3.第5回日韓古典籍交流会の実施(国文学研究資料館特定研究「日本古典籍の書型に関する研究」との共同開催)。日時・場所:2014年1月24~25日(金・土)、国文学研究資料館オリエンテーション室 内容:1月24日13:30~17:45 研究報告(奉成奇「韓国の古活字に対する小考」、柳富鉉「高麗大蔵経の新たな理解」)。韓国語・日本語による通訳付き。参加者32名。1月25日10:30~17:30 講演(藤本幸夫「日本現存朝鮮本とその研究」)、研究報告(佐々木孝浩「日本古典籍における中世末期の表紙の変化について―朝鮮本と和本をつなぐもう一つの視座―」、海野圭介「手鑑の中の高麗写経」、入口敦志「古活字版の黎明」、金永昊「『三綱行実図』の伝来と影響」)。韓国語・日本語による通訳付き。参加者31名。 4.印刷博物館(凸版印刷)における関連資料調査(2014年1月26日(日)13:30~15:30、説明:同館学芸員中西保仁氏)。参加者17名。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
中央図書館所蔵の善本調査は、当初の目標だった文学関係についてはほぼ終了し、夏の交流会におけるメンバーの調査報告も、残り3名で全員が担当分の報告を果たすところまで来た。調査中、直接本研究の対象とした「日本語・日本文学」以外の目録に搭載された和古書についてもメンバーの関心が広がり、その一部については調査対象に加えたが、全貌の把握については次の機会に託さざるを得ないと判断した。こうした新たな調査対象は、当初の計画が滞りなく実行され、また中央図書館当局の好意的な対応によって見えてきたものであり、今後の調査研究の可能性が一層拡大したと言って良い。 それと同時に、中央図書館図書館研究所との交流が深まり、韓国の古典籍書誌学について教示を受ける機会が増えた。その結果、平成26年1月には、夏とは逆に、韓国の古典籍を中心とする研究交流会を国文学研究資料館において開催するに至った。ここには、日本における朝鮮本研究の第一人者である藤本幸夫氏をはじめ、日韓の専門研究者が参集し、若手研究者にも通訳をはじめ様々な役割を担ってもらった。 加えて本年度は、補助事業者1名(国文学研究資料館プロジェクト研究員)を雇用したことで、調査及び2度の研究交流会の準備作業を円滑に進めることができた。 このように、本研究は、すでに在韓国の「和古書」研究の範囲を超えて、日韓古典籍の比較検討の段階に入ってきており、さらには両国の古典籍が、中国古典籍(漢籍)を受けて、どのように自国文化に取り込まれるようになったかの検討を目前にしている。このような意味で、本研究は当初の計画以上の進展を見たと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる本年度は、7月に予定している研究交流会を滞りなく実施することが第一の目標である。従来通り、科研メンバー3名と、中央図書館図書館研究所所属の研究者1名による研究報告を予定している。また今回については、日韓古典籍の比較研究の一環として、韓国国立中央博物館及び高麗大蔵経の板木を所蔵する海印寺(慶尚南道)において、日韓研究者による共同調査を行う予定である。 また成果報告の場については、当初の予定(報告書の作成)を変更し、研究誌「アジア遊学」(勉誠出版)の特集「古典籍が結ぶ日本と韓国」(仮題 第1部「韓国古典籍と日本」、第2部「韓国国立中央図書館所蔵の日本古典籍」)として刊行(12月)することを予定し、現在準備を進めているところである。
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