2014 Fiscal Year Annual Research Report
エクアドル南部におけるインカ国家の拡大をめぐる実証的研究
Project/Area Number |
23401032
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
大平 秀一 東海大学, 文学部, 教授 (60328094)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | アンデス先住民史 / インカ国家 / 武力抗争 / 墓 / 埋葬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は、アンデス北方におけるインカ国家の中心都市トメバンバ(現クエンカ市)西方約50kmに位置するムユプンゴ山系領域において、同国家によって拝された諸施設の発掘調査を基盤とし、文書資料や民族誌を加えながら、インカ国家の拡大の諸相に関して実証的に解明することを目的としている。調査領域には、ラ・ソレダーとミラドール・デ・ムユプンゴという、「行政センター」の特徴を呈する中心的遺跡が認められる。また周辺の諸遺跡の中には、大規模な武力抗争の犠牲者を簡易的に埋葬したと判断される3000基以上の墓も確認している。 研究計画の最終年度である2014年度の調査では、現地に保管してある2011~2013の出土遺物の整理・分析を重点的に進めた。また、調査領域においては、遺跡の測量調査を実施した。 測量調査によって、セロ・インフィエルニーリョという神観念の付与された聖なる丘のピーク周辺に祭壇ならびに多くのテラスが配されていることが確認された。さらに、この丘から南東方向に下る斜面上に、標高1800mにいたるまで連続的に畑地が配されていることが確認された。 遺物の出土量は、ラ・ソレダー周辺域(1800m)に多く、ムユプンゴ領域(3200m)では限定的である。遺物の多様性に関しても、前者では良質の土器に加えてビーズや金属製品などが含まれている一方で、後者では一定の特徴を帯びた粗製の土器に限られている。こうした出土遺物の傾向は、居住していた社会集団の差異を示すものと考えられる。広大な畑地の存在が確認された後者には、多くの労働者集団が配されていたことは明らかで、一定の特徴をもつ土器は、インカによって分配されたものと考えられる。一方前者にはインカの王族(パナカ)と関連する社会集団も居住者に含まれていたことが示唆される。出土遺物の考察を通して、あらゆる社会層が急襲されていることが再確認された。
|
Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(2 results)