2012 Fiscal Year Annual Research Report
先端技術を用いた中央アジアのシルクロード・シルクロード都市の総合的調査研究
Project/Area Number |
23401035
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Section | 海外学術 |
Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
宇野 隆夫 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (70115799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺村 裕史 国際日本文化研究センター, 文化資料研究企画室, 特任准教授 (10455230)
佐藤 洋一郎 総合地球環境学研究所, 研究部, 教授 (20145113)
黄 暁芬 東亜大学, 人間科学部, 教授 (20330722)
泉 拓良 京都大学, 文学研究科, 教授 (30108964)
酒井 英男 富山大学, 理工学研究部, 教授 (30134993)
小方 登 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (30160740)
芳賀 満 東北大学, 高等教育開発推進センター, 教授 (40218384)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シルクロード / 都市 / 先端技術 / GPS / GIS |
Research Abstract |
本研究は,中央アジアにおけるシルクロード都市遺跡の広域調査と,シルクロード都市・ダブシア城(ウズベキスタン・サマルカンド州)の発掘調査とからなっている。 広域調査については,COLONA衛星画像を用いて,新しい遺跡の探索や,失われたりダメージを受けた遺跡の復元研究をおこなった。その結果,多くの人為的地物を発見し,そのかなりがシルクロード関連の都市・町遺跡であると考えられた。また遺跡周辺地の環境をGPSを用いて調査して,GIS上で分析した結果,シルクロード都市は地形環境の変化点に位置することが多く,多様な環境・資源を利用する場を選んだと考えられた。 ダブシア城の発掘調査においては,王宮地区の調査地区で,最下層まで発掘することができたため,このシルクロード都市の推移をおよそ復元できるようになった。すなわちこの地はアケメネス朝ペルシア時代に利用がはじまり,ヘレニズム時代(紀元前3世紀末)に日干しレンガ建物や道路からなる町が成立したと考えられた。以後の建物や道路・城壁の方向は,この最初の段階のものを踏襲することから,本格的な町づくりがなされたと考えられた。 以後,ダブシア城はソグド時代(西暦4~7世紀)に都市としての最盛期をむかえ,活発な経済的・宗教的活動をおこなった。イスラム時代(西暦710年以後)も都市の繁栄は続いたが,建物は徐々に小型化して,西暦13世紀中頃には,王宮地区がすたれることとなった。ただし交易拠点機能はシルクロード沿いのイスラム寺院周辺で19世紀まで続いた。この推移は中央アジア最大のシルクロード都市であるサマルカンド・アフラシアブ城とほぼ一致し,ユーラシアの十字路であるザラフシャン川中流域の活動をこの2都市が長く支えてきたことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で取り組んだ,シルクロード都市に関する広域の分布調査についても,シルクロード都市・ダブシア城の発掘調査も,上記のように着実に成果をあげることができて,全体的な結論をえる見通しがえられてきていることから,おおむね順調に進展していると判断した。 今後の調査により,この見通しを確かなものとして提示できるようになれば,この分野に対する大きな貢献となり,当初の計画以上に進展していると評価できるようになるであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
シルクロード都市の広域分布調査については,衛星画像解析で発見した人為的地物について,現地で踏査してその性格を判定したり,散布遺物最終による年代の判定をおこなうことを予定している。また環境調査をさらに進めて,遺跡立地のGIS分析をさらに精密なものにすることを予定している。 シルクロード都市・ダブシア城の発掘調査については,王宮地区以外の場所を調査して,都市の構造とその推移について把握することをめざす。またダブシア城周辺の関連遺跡群についても,調査を実施して,遺跡ネットワーク復元の資料を得ることを目指したい。
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Research Products
(5 results)