2014 Fiscal Year Annual Research Report
先端技術を用いた中央アジアのシルクロード・シルクロード都市の総合的調査研究
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23401035
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
宇野 隆夫 帝塚山大学, 文学部, 教授 (70115799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺村 裕史 国際日本文化研究センター, 研究部, 特任准教授 (10455230)
佐藤 洋一郎 京都産業大学, フューチャーセンター, 教授 (20145113)
黄 暁芬 東亜大学, 人間科学部, 教授 (20330722)
泉 拓良 京都大学, 総合生存学館, 特定教授 (30108964)
酒井 英男 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 教授 (30134993)
小方 登 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (30160740)
芳賀 満 東北大学, 高等教育開発推進センター, 教授 (40218384)
山口 欧志 帝塚山大学, 文学部, 研究員 (50508364)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中央アジア / シルクロード / 都市 / 交易 / 封泥 / ソグド人 / ゾロアスター教 / イスラム教 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究のミクロの調査研究課題は,シルクロード都市の詳細発掘調査である。そのためシルクロード都市ダブシア城の最終的な確認調査を実施してダブシア城の調査を完了した。またこれに並行して,ダブシア城と関わりが深い中型のシルクロード都市であるカフィル・カラ城についての調査をおこなった。その結果,両都市遺跡の違いが浮かび上がって来ている。 第1に,アラブ勢力の中央アジア征服時(8世紀初め頃),ダブシア城においては戦火の痕跡がみつからなかったのに対して,カフィル・カラ城の城塞部(シタデル)では,この時期の文化層のほぼ全域が火災による焼土・炭層でおおわれていた。おそらくソグド人勢力はダブシア城を放棄して,カフィル・カラ城に集結してアラブ勢力に抵抗したと考えられた。 またカフィル・カラ城では異例と言える大量の封泥(容器に粘土を貼りつけて印章を押印したりソグド文字を表したもの)が発見された。封泥は重要な文書を保管する箱を封印する場合に使用することが多く,カフィル・カラ城で大量の重要文書が保管されたことを示唆している。封泥の年代はソグド時代からアラブ勢力による征服時におよび,カフィル・カラ城は,ダブシア城が交易のための大型都市とは異なる重要な役割をもったと推定された。 本研究のもう一つの目的は,マクロなシルクロード網の復元とその研究である。この課題について,GPSを用いた調査を進めるとともに,GISを用いた地形・植生分析をおこなった。この成果からシルクロード網の東西幹線は,およそ農耕地帯と遊牧民地帯の境にそって,平坦で最適な地形を選んでいると考えられた。これに関して南北支線は険しい地形をこえ,多様な環境と環境に適した多くの物産の存在が推定された。このようにシルクロード網は単に都市を結ぶ道であったのではなく,東西文明を結ぶ東西幹線に多様な物資を供給するシステムとして存在したと推定できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はシルクロード都市のミクロの調査とシルクロード網のマクロの調査を両輪として実施している。 ミクロの調査に関しては,シルクロード都市ダブシア城の調査を完了して,東方のサマルカンド・アフラシアブ城と並行した推移をたどったことを明らかにした。これによりシルクロードの十字路である当該地域(ソグディアナ)は,この東西の二大拠点が連携して十字路「地帯」を形成して来たことを明らかにできた。またこの二大遺跡と関わりの深い中型シルクロード都市である,カフィル・カラ城を調査して,多数の封泥を発見し,ゾロアスター経典などの重要文書を大量に保管し,大型の交易都市とは違う役割をもつものであったことを明らかにすることができた。 マクロの調査に関しては,シルクロード網を復元した上で,GISを用いた地形・植生・遺跡立地分析をおこない,シルクロード網の構造を考察した。その結果,東西幹線は農耕地帯と遊牧地帯の境界の平坦で交通に適したルートがとられていること,南北支線は多様な環境をまたぎ険しい道であることが多いが多様な物産があって,それを東西幹線に運ぶという機能をもっていたと推察できた。 以上の諸点は,従来の知見を大きく深めるものであり,おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は,研究計画の最終年度にあたるため,以下の研究を実施することを予定している。 現地調査:多くの封泥(ソグド文字や図像を表現した封印粘土)が出土し,ダブシア城のような大型交易都市とは異なる性格をもったと考えられたカフィル・カラ城について,その性格をさらに明らかにする調査をおこなう。 資料整理調査:昨年度までに得た資料をデータベース化するとともに,GISを用いた量的・空間的分析を進め,資料のもつ意味をさらに明らかにする研究をおこないたい。
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Research Products
(3 results)