2012 Fiscal Year Annual Research Report
都市縮小/再生のガバナンスに関する研究--デトロイトを事例に
Project/Area Number |
23402005
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
矢作 弘 龍谷大学, その他部局等, 教授 (40364020)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | デトロイト / トリノ / 縮小都市 / 都市再生 / コミュニティ再生 / ガバナンス / 空き / 人口動態 |
Research Abstract |
産業構造の転換と人口の郊外移動で半世紀に、市人口の過半を失った縮小都市デトロイトの現地調査を実施し、都市政府の統治力、及びコミュニティレベルで観察される多様な都市再生の動くを追った。その際、如何なる都市再生のメカニズム--デトロイトのステークホルダー(大学、美術館、病院、基金、非営利民間組織、企業など)の連携--が構築され、機能しているかに注目した。 都市再生の動きとしては、1)広大な空き地を活かす都市農業(コミュニティガーデンからアーバン・アグリビジネスまで)、2)空きオフィスをロフトに転換、3)空き工場や倉庫をアート活動の現場に活用--など「空き」をネガティブに捉えず、むしろ都市再生の踏み台に活用しようというポジティブな取り組みに注目した。 デトロイト市は昨今、州政府の管轄下(知事がエマージェンシーマネジャーを指名)にあり、破綻寸前である。都市政府の機能不全--財政危機、行政力の後退、地方政治過程における諸勢力の対立--などの状況についても調査研究した。 デトロイトの状況を比較考察するために、同じ中西部の縮小都市シンシナチ、クリーブランドの都心再生の現地調査も試みた。 トリノ(イタリア)は、Fiatのワン・カンパニー・タウンである。デトロイトと同様に、自動車産業都市であり、縮小都市である。そのトリノが2000年前後を境に人口の回復に向かっていることを知り、デトロイトとの比較をすることに意義を見出し、現地で再生の社会システムが如何に機能しはじめているのかの調査に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1)研究主査、及び共同研究者のいずれも、現地調査の成果を着実に研究発表につなげることができている(次ページ参照、2013年4月以降も、「地域開発」に2012年度の現地調査の成果を4回連載する)。 2)縮小都市デトロイトの衰退のメカニズム分析、再生の動向を、デトロイト内に立ち止まって調査分析するのではなく、他都市(アメリカ中西部都市、さらには類似のヨーロッパ都市:トリノ)と広く比較検証する視点を確保できたことは、申請当時の問題意識をさらに深化させ、本縮小都市の研究に国際性、学際性を確保するのに役立っている。 3)現地調査を通じ、縮小都市研究のネットワークを広げることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)デトロイトと他都市との比較調査にさらに力を入れ、複眼的な視点から縮小都市の事態、持続可能性の研究に役立てる。 2)海外研究者の招聘プログラムなどを活用し、研究会の国際化に努める。 3)研究所助成期間中に、成果取りまとめの単行本の発行を企画している。
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