2012 Fiscal Year Annual Research Report
ロシア連邦とカザフスタン共和国の国際商事仲裁制度の比較研究
Project/Area Number |
23402013
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Research Institution | Jobu University |
Principal Investigator |
吉田 一康 上武大学, ビジネス情報学部, 准教授 (50438743)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国際商事仲裁 / ロシア / カザフスタン / 仲裁法 / 外国仲裁判断の承認・執行 |
Research Abstract |
「研究の目的」である「ロシア連邦とカザフスタン共和国の国際商事仲裁制度の比較」のうち、カザフスタンの国際商事仲裁制度については、「研究実施計画」に基づいて、平成24年8月に最大都市アルマティ及び首都アスタナを訪問し、常設国際商事仲裁裁判所の仲裁人経験者や元裁判所判事、教授、弁護士などとインタビューを行い、最新の国際商事仲裁制度について情報を収集することができた。特に仲裁判断の執行については、執行の能率を上げる目的で、一部、民間に委託する形で、民間の執行官を認めており、資料を収集して分析した。 ロシアの国際商事仲裁制度については、「研究実施計画」に基づいて、平成24年9月にサンクトペテルブルグ及びモスクワ、平成25年2月にモスクワ及び英国のロンドンを訪問し、常設国際商事仲裁裁判所の仲裁人経験者や教授、弁護士などとインタビューを行うとともに、モスクワで行われた米国法曹協会(ABA)のロシアの仲裁についての国際会議に出席でき、最新の国際商事仲裁制度について情報を収集することができた。特にロシアでは不動産取引関係の紛争や株式取引関係の紛争が仲裁可能か否かが問題となっており、前者については、憲法裁判所より、仲裁可能との判断がなされ、判決文とそれに対する評論を分析した。後者については、商事裁判所の裁判官が、近々、結論が出されると報告していたことから、引き続き、情報に注意したい。 また、英国のオックスフォード大学の図書館の資料などから、帝政ロシア時代から新経済政策(NEP)時代あたりまで、ロシア・ソ連商工会議所のメンバーである輸出入企業が、国際商事仲裁を活用していたとの記述があり、更に資料を収集して、未だにはっきりしないソ連の国際商事仲裁度の創立者を明確にしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロシア及びカザフスタンの国際商事仲裁制度について、歴史的経緯や現行の制度、判例などに関する資料をかなり収集することができた。今後は、それを分析・比較してまとめるともに、最終年度の今年は、足りない資料を補充したい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、これまで収集した情報をもとに、当初の予定通り、次の10項目について比較する。 (1)法体制上の国際商事仲裁制度の位置付け、(2)国際商事仲裁制度に関係する歴史、(3)仲裁契約の性質、(4)仲裁に関係する民事訴訟法等の整備、(5)国際商事仲裁に関係する裁判所の協力、(6)国際私法、(7)仲裁判断の執行、(8)国際商事仲裁に関係する判例、(9)常設の国際商事仲裁裁判所の体制と最近の仲裁例、(10)投資受入国としての国際投資契約の紛争解決方法の傾向。 その上で、CISを想定した統一仲裁法の可能性を探りたい。
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