2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23402031
|
Section | 海外学術 |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松原 隆一郎 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (90181750)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 徹 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (30227839)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 都市開発 / コミュニティ / 環境保全 / 経済発展 / 社会ネットワーク / 国際研究者交流 / イタリア / フィリピン |
Research Abstract |
本年度は、市場主導の日本、政府主導のイタリアとは対照的な、フィリピンの事例について、研究分担者の中西とともに、研究代表者松原と連繋研究者村松が実態調査を実施し、「市場経済と政府部門が弱いため,人々が無秩序な開発を行っているように見えるが、コミュニティの規制が働いている」という基本仮説についての検証を行った。 具体的には、フィリピン大学人文社会学部の専門家とともに、マニラ市、マラボン市、ビガン市を選択し、村会議員や市長など行政側のインフォーマントとともに、スモーキー・マウンテンをはじめとするインフォーマル・セトゥラーやカトリック教会関係者への聞き取りを実施し、前年度のイタリアにおける調査で明らかになった都市開発における地方政府とコミュニティの連繋の重要性の観点から、仮説を再検討した。その結果、イタリア同様に、ビガン市については、観光資源保護という観点から、官民が一体となり、特定地域における景観保全に力を注いでいるものの、多くのばあいは、基本仮説のとおり、コミュニティの規制によって、住民の立場からの無秩序な混乱を防ぐメカニズムが働いていることがあきらかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では、受け入れインフォーマントの都合により、遅滞が生じた。しかしながら、当初、予定していた社会ネットワーク・データおよび家計調査データについては、ほぼ調査を完了することができた。さらに、マラボン市全体については、2011年に行われたinformal settlerについての家計調査データの入手がほぼ確約されたので、今後の研究に大きな発展を期待できる調査となったと考えられる。 ただし、村落外部との間のネットワークデータ収集については、依然として補足調査を必要としている。
|
Strategy for Future Research Activity |
大きな問題点はないものの、マニラ市についても、マラボン市同様なinformal settlersについての家計調査データ原票の入手の手配をつけることができれば、都市低所得者層のよって立つ社会環境をより包括的に理解することができる。今後はその入手にまず努力したい。 さらに、マラボン市と他の地域の間のネットワークデータには、不備が多く、さらなる補足調査を行い、包括的な分析を行うことが今後の調査の中心である。
|