2012 Fiscal Year Annual Research Report
貧困層を含むコミュニティ開発プロセスに関する研究―アジアに資する開発手法の構築―
Project/Area Number |
23402048
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
高橋 一男 東洋大学, 国際地域学部, 教授 (70206796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川澄 厚志 東洋大学, 国際地域学部, 講師 (00553794)
安 相景 東洋大学, 国際地域学部, 教授 (40307781)
藤井 敏信 東洋大学, 国際地域学部, 教授 (50165338)
HUGHES Robert・R 東洋大学, 国際地域学部, 准教授 (50349940)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アジア / コミュニティ開発 / 自助型開発 / バーン・マンコン・プログラム / CODI / ACCAプログラム / コミュニティネットワーク |
Research Abstract |
本研究の基幹事項であるタイのバーン・マンコン・プログラム(以下、BMP)の開発プロセスについてバンコク都内、アユタヤ市においてコミュニティ調査を行った。バンコク都内では商業・金融地区であるサートーン通りに隣接するコミュニティで調査を行ったが、いわゆるジェントリフィケーションが進行し、居住権の売却、住宅用途の変更など契約違反が散見された。またアユタヤ調査では、コミュニティ委員会内の使途不明金が発覚、CODIの融資差止めも発生していた。これら開発プロセスにおける諸問題は、契約意識の甘さに一因があると分析される。未成熟な契約社会なのかタイ社会特有のパトロン・クライアント意識が根底にあるのか更なる分析を要する。また、マクロ視点から、1962年以降のタイ政府による経済社会政策の推移とそれに伴う社会変動に関して、貧困層を含むコミュニティの形成、開発の推移、住民の意識変化について分析を行った。経済社会政策とコミュニティ開発の連関については、次年度以降も継続して研究を行うものである。 本研究のもう一つの基幹事項は、ACHRによってACCAプログラムとしてアジア諸国に紹介されている開発プログラム研究である。当初予定していたインドおよびパキスタンにおける調査は、政情不安定とACHRの助言もあり取止めることとなった。ACHRと協議した結果、ネパール、ラオスにおいて現地調査を行い、その実態把握を行った。また、モンゴルと韓国では補完調査を実施した。ACCAプログラムではBMPを、小プロジェクト(インフラ整備、コミュニティビジネス支援等)と大プロジェクト(居住環境整備を含む住居の建てかえ)の2段階に分けて紹介しているので、各国の事情に合わせた導入が可能となっている。しかしプログラムの進捗は停滞を伴っている場合が多く、開発手法の構築において課題となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度はタイにおけるコミュニティ調査の実施は当初の計画通りに進めることができた。また、新たにタイ政府主導の経済社会政策について1960年代以降を捉え、コミュニティ開発との連関について、タイの研究連携協力者と推進できている。 タイ政府機関CODI主導のBMPが、タイのNGOであるACHRによってアジア諸国にACCAプログラムとして紹介されているが、同プログラムを導入したネパール、ラオスで現地調査を実施することができた。加えてモンゴルおよび韓国のコミュニティにおいても昨年度の補完調査を実施することができ、それぞれの実態を把握することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、政情不安定、プログラムの進捗状況等の理由でACHRとの協議の結果、パキスタンおよびインドでの調査を見送った。平成25年度は、タイ、カンボジア、ベトナム、ラオスまたはミャンマーにおいて自助型開発プログラム(Baan Mankong Program、以下BMPとする)のプロセスについて現地調査を行うこととしている。 なお、パキスタンおよびインド調査に関しては、ACHRと協議を続け、外務省渡航情報を参考にしながら調査実施の可否を検討していく。
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