2013 Fiscal Year Annual Research Report
フィンランドの児童の思考と信念の特質と環境要因に関する心理学的研究
Project/Area Number |
23402055
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤村 宣之 東京大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (20270861)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺川 志奈子 鳥取大学, 地域学部, 教授 (30249297)
渡邊 あや 国立教育政策研究所, 高等教育研究部, 総括研究官 (60449105)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 教育系心理学 / フィンランド / 思考 / 信念 / 学習観 / 大人観 / 小学生 / 社会的相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、フィンランドの児童の思考の特質や、学習や人間関係を規定する信念、それらに影響する環境要因を,観察・面接などの心理学的方法を用いて明らかにした。 1.児童の学習観と数学的思考の検討(面接研究):フィンランドの小学校3,5年生に対して,児童の学習観と数学的思考を明らかにするための個別面接を実施した。発話分析の結果,学習観に関してフィンランドの児童は全般的に協同過程や思考過程を重視しており,協同過程が個人の理解に及ぼす影響についての意識が学年進行とともに高まることが示唆された。また数学的思考に関しては,フィンランドの児童が数学的知識と日常的知識を関連づけて問題解決方略を構成する傾向が示された。 2.児童の大人観・友人観の検討(面接研究):フィンランドの2つの小学校の3,4,5年生を対象として,児童の大人観や友人観を尋ねる個別面接を実施した。児童の発話内容を分析した結果,「早く大人になりたいか」という質問に対して「大人に早くなりたい」と答える児童は3年生から4年生にかけて増加すること,それぞれの選択理由から,現在の子どもとしての生活,将来の大人としての生活のいずれも肯定的にとらえることが明らかになった。また,友人観に関しては,学年の進行とともに友人の内面性(信頼,理解,公平など)への言及が増加するが,一方で,社会性を育成する教育の影響も推察される。 3.児童間及び児童―教師間の相互作用の継続的検討(観察研究):前年度に引き続き,授業場面の相互作用を分析した。教師は日常性を重視した発問と対話で児童の考えを引き出す一方で,その問題に対する個別解決の時間は設定せず,臨機応変にグループやペアの活動に移行していた。また,教師によるまとめを行わずに他の問題に移行する特徴もみられた。その背景には,個々の児童の特質に対応して学習活動を組織するという教師の一貫した教育観がうかがえる。
|
Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(3 results)