2011 Fiscal Year Annual Research Report
2009年台風8号による小林村複合土砂災害のメカニズムと警戒避難
Project/Area Number |
23404006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮本 邦明 筑波大学, 生命環境系, 教授 (00263492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 正治 京都大学, 防災研究所, 教授 (60181369)
堤 大三 京都大学, 防災研究所, 准教授 (40372552)
権田 豊 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10303116)
小山内 信智 独立行政法人土木研究所, 土砂管理研究グループ, 土砂管理研究グループ長 (30355862)
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Keywords | 複合災害 / 台湾小林村 / 台風8号(モラコット) / 深層崩壊 / 災害シナリオ / 数値シミュレーション / 水文観測 |
Research Abstract |
本研究の目的は2009年台風8号によりもたらされた未曾有の豪雨により生じた小林村での複合災害のメカニズムを明らかにし、複合災害に対する解析予測手法と警戒避難の基本的な考え方を明らかにしようとするものである。本研究では前述した目的を達成するために2009年の小林村複合災害の実態とそのメカニズムについて調査するとともに、鍵となる災害時の8号橋が架かる支流域で生じた諸現象の解明のため流域の水文特性について現地調査を行うとともに現象の再現を目指し複合災害の予測と対策の基本について検討している。 平成23年度は深層崩壊の発生から天然ダムの決壊まで、調査研究から小林村で生じた災害時系列の概略説明ができた。その一方で、小林村からの唯一の避難経路にある8号橋地点での河床位がモラコット台風直前にすでにかなり高い状態でないと早い時刻に通行不能となることは考えにくいことが明らかとなった。実際、さらに調査を進めて行く中で、その前年の2008年に台風カルマギーにより8号橋付近の河床がかなり上昇していたことが明らかとなった。これは、研究開始当初予想していなかった成果であり、調査研究方針が間違っていなかったこと、小林村における複合災害現象の理解を大きく進めるとともに、新たに検討しなければならないことを明らかにすることとなった。一方,雨量計、水位計など水文観測施設の8号橋の架かる枝渓流域内山奥への設置も修了し観測を始めている。機器のメンテナンスもかねて、乾季の流量観測も実施し、流域の持つ水文特性の一部が明らかになりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画目標、災害実態の時系列を明らかにすること、8号橋の架かる流域における水文観測システムの設置と観測開始、は計画通り達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
調査結果から8号橋の架かる枝渓では、前年の台風による大きな土砂流出があり、8号橋地点ですでにかなりの河床上昇が進んでいたことが明らかとなった。したがって、小林村複合災害の全貌を明らかにするには鍵となる8号橋地点での河床上昇を説明するため,2008年の台風以前の河床の状態、2008年の台風による河床上昇とその後の河床変動を2009年の台風8号による河床上昇とあわせて検討する必要が出てきた。これらについては改めて資料収集から進める必要が出ているがこれらは当初予定していた計画の中にはないため、台湾の連携大学と調整をとりながら水文観測とあわせてコンパクトに効率よく進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)