2011 Fiscal Year Annual Research Report
北東アジア半乾燥地における土壌中の環境汚染物質の動態と我が国への影響
Project/Area Number |
23405001
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Section | 海外学術 |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田村 憲司 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (70211373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 照雄 筑波大学, 副学長 (20094170)
礒田 博子 筑波大学, 生命環境系, 教授 (00375429)
上條 隆志 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (10301079)
韓 〓奎 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (40455928)
川田 清和 筑波大学, 生命環境系, 助教 (70529859)
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Keywords | 土壌 / 半乾燥地 / 環境汚染物質 / 北東アジア / 黄砂 / 砂漠化 / 過放牧 / 放射性セシウム |
Research Abstract |
北東アジアの大陸において2000年代初め以降、最大規模の砂嵐が多発しており、大気中へ巻き上げられた砂塵(黄砂)の飛来も頻繁に観測されており、その影響は深刻で、北東アジアの広範囲に及んでいる。研究代表者らは、2008年以降、Cs-137など放射性核種を土壌粒子トレーサーとして用いることによって、飛来する砂塵の量および起源を解明した。この結果から、モンゴル、中国の過放牧地帯の砂漠化しつつある草原が砂塵の発生地であることを明らかにした。本研究では、それら地域の表層土壌および砂塵中のヒト毒性物質を含む環境汚染物質の動態を解明し、我が国への影響について明らかにすることを目的としている。平成23年度はモンゴル国中央部のフスタイ国立公園を中心に調査を行った。調査項目は以下のとおりである。 1)植物群落の種組成の解析と生産量の測定、2)土壌調査及び土壌試料の採取と理化学性の分析、3)土壌の微細形態の解析、4)土壌中のヒト毒性についての解析と評価。 上記調査の結果、以下のことが明らかとなった。 表層土壌の微細構造は、バッファーゾーンでは亜角塊状構造、粒子間チャンネル構造、板状構造であったが、コアゾーンでは、小粒状構造、亜角塊状構造、粒子間微細粒団構造が観察され、微細構造が発達していることが明らかとなった。 全てのサイトで細胞毒性を示した。耕作放棄地では特に強い毒性を示した。コアゾーン内の草原土壌でも毒性が見られた。また、当初予想していたエストロゲン反応は、放牧圧の高いAchnatherumを優占種とするバッファーゾーンの地域でも確認されなかった。耕作放棄地やコアゾーンにおいては、飛来したレスや風雨により毒性を示す物質が集積していた可能性が示唆された。その他の地点では人為的な撹乱圧が高いことから、家畜の糞尿だけでなく人の生活由来の有害物質が蓄積していた可能性があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
黄砂発生域の土壌表層の状態を詳細に把握し、表層土壌の飛砂の可能性について言及することができた。さらに、表層土壌中のヒト細胞毒性評価を行い、全ての土壌で毒性を示したことは評価に値すると思われた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度においては、さらに、上記調査地点の評価を詳細に行い、黄砂の発生源として有力なモンゴル国西部のゴビステップ地帯において、今年度と同様な調査及び解析を行うとともに、中国内蒙古自治区フルンボイル草原についても調査する。
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Research Products
(5 results)