2011 Fiscal Year Annual Research Report
ルソン島カガヤン流域でのガリー侵食多発と除草剤耐性トウモロコシ普及との関係
Project/Area Number |
23405022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Field |
Plant nutrition/Soil science
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
南雲 不二男 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, プロジェクトリーダー (20399372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 慎吉 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 熱帯島嶼研究拠点, 主任研究員 (00354043)
内田 諭 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 主任研究員 (60425535)
伊藤 一幸 神戸大学, 農学研究科, 教授 (80355271)
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Keywords | フィリピン / ガリー侵食 / 除草剤 / 作付け体系 / 雑草 |
Research Abstract |
対象地であるルソン島北部のイラガン市、サンロレンソ村における9つのガリーシステムにおいて、ガリー全長は平均383m、ガリー容積は平均612m^3で、総重量で7,345tonの土壌が失われたと見積もられる。本地域一帯の丘陵地帯は、地滑り(?)に伴う急斜面と緩斜面からなる斜面形が多く、地質(Sandstone/shale)を反映していると考えられる。また、広域聞き取り調査の結果から、1)イザベラ州では除草剤耐性品種が近年急速に普及し、ほとんどのMuniciparityで本品種が広く利用され、高く評価されている、2)トウモロコシ残渣はトラクターにより鋤き込まれるか、焼却される。どちらの場合でも作付け時期は裸地状態となる。そのため、土壌侵食は深刻であると広く認識されているものの、サンロレンソの様にガリーが近年頻発していると認識されているMuniciparityは少ない、ということが分かった。 高空間分解能衛星データによるガリー侵食の判別、抽出について調査した。空間分解能が0.5mであるWorld Viewパンクロマティックデータを画像化し、現地におけるガリー計測情報との比較を行ったところ、画像上で黒く線状に表現される部分とガリーとが良く対応し、対象地域において目視判読によるガリー抽出が可能であることが示された。ガリーによる線状のパターンを抽出するため、傾斜方向、ノイズ除去、テクスチャ解析、差分処理等を組み合わせる手法を試験的に構築した。 ガリー発生圃場では8種(一年生6種、多年生2種)、未発生圃場では27種(一年生18種、多年生9種)の雑草が観察された。地上部の雑草乾物重総量ではガリー発生圃場では未発生圃場の1/10であった。乾物重割合ではガリー発生圃場は多年草が13%しかなかったのに対して、未発生圃場では52%であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
広域調査の結果、ガリーの多発地域が局所的であることがわかり、その原因の一つとして、地形・地質条件の影響が大きいことが推察された。このことにより、今後の調査に当たって、比較対象地を絞り込むことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
フィリピン・ルソン島北部丘陵地帯において、ガリーの頻発している地域とそうでない地域について、その地形・土壌的特徴付けを行う。ガリー発生地帯の景観観察を多時期に継続し、発生の要因となる地形・土地利用等の条件の考察を進めるとともに、こうした条件の広域的分布情報を整備する。また、衛星データを用いたガリー域の自動抽出手法の開発・改良を進める。 除草剤多施用の畑地で最も目立った雑草はベニバナホシアサガオであった。本種のグリフォサート抵抗性について今後調査する必要がある。
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