2013 Fiscal Year Annual Research Report
南・東南アジアにおける単為生殖型肝蛭と家畜ウシの分布・拡散に関する分子系統解析
Project/Area Number |
23405044
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
板垣 匡 岩手大学, 農学部, 教授 (80203074)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 単為生殖型肝蛭 / Fasciola gigantica / バングラデシュ / フィリピン / 系統解析 |
Research Abstract |
25年度はバングラデシュおよびフィリピン産肝蛭の系統解析を行った。 バングラデシュの6地域でウシ、バッファロー、ヒツジ、ヤギの胆管より147虫体を得た.虫体の精子型は染色標本から貯精嚢内精子の有無によって確認した。各虫体から全DNAを抽出し,ITS1型についてはPCR-RFLP法によりFh型,Fg型,Fh/Fg型を識別し、nad1型については,PCR産物の塩基配列 (535bp) をダイレクトシークエンス法により決定しハプロタイプ型として識別し,アジア各国産肝蛭のハプロタイプ型とともに系統解析を行った.その結果、20虫体は有精子型,127虫体は無精子型であり、バングラデシュでは無精子型肝蛭が優勢であることが判明した。有精子型肝蛭はITS1型がFg型であったことから,F. giganticaと同定された.無精子型肝蛭のITS1型は98虫体がFg型、29虫体がFh/Fg型であった.nad1型はF. gigantica20虫体において10ハプロタイプ( Fg-NDI-Bd1~Fg-NDI-Bd10)が識別され,単為生殖型肝蛭127虫体は同一のハプロタイプ(Fsp-NDI-Bd11)であった。Fsp-NDI-Bd1は日本、韓国、中国、ベトナム、タイ、ネパール由来の単為生殖型肝蛭のハプロタイプと配列が完全に一致した。このことは、これらのハプロタイプの母型祖先は同一であり、比較的近年に宿主動物(ウシ?)とともにアジア地域に分布を拡げたと考えられた。一方、F. giganticaは単為生殖型肝蛭よりもかなり古い時代にバングラデシュに侵入し、founder effectによりバングラデシュ独自のハプロタイプ集団を形成したと考えられた。また、バングラデシュ優勢なF. giganticaハプロタイプはミャンマーやネパール産F. giganticaと近縁であり、アジア地域のゼブウシやスイギュウの分布拡散との関連性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
25年度に計画していたバングラデシュ国およびフィリピン国の肝蛭虫体について予定以上の進捗状況で研究成果を得ることができたこと、さらにはそれらの研究成果を国際的な専門雑誌に掲載または受理されたことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度の研究成果から、中国で誕生後、周辺諸国にその分布を拡大していると考えられる単為生殖型肝蛭(無精子型肝蛭:aspermic Fasciola sp.)が、東南アジアのバングラデシュ、さらには島国であるフィリピンから検出され、そのnadIハプロタイプは他のアジア諸国(日本、韓国、中国、ベトナム、タイ、ミャンマー、ネパールなど)で検出されたハプロタイプと同一であったことから、比較的近年に家畜の移動と共に分布域を拡げたことが推察された。今後は家畜の品種やその分布などとの関連性を検討することが必要であろう。また、F.giganticaの主要な伝搬者であると考えられるゼブウシはインド(現パキスタン)で家畜化されたと考えられていることから、F.giganticaの分布・拡散の解明にはインドの肝蛭虫体の解析が重要であると考えられ、26年度はインドを主体とした調査解析を行う。
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Research Products
(19 results)
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[Journal Article] Morphological and molecular characterization of Explanatum explanatum from cattle and buffaloes in Myanmar.2013
Author(s)
Ichikawa, M., Kondoh, D., Bawn, S., Maw, N. N., Htun, L. L., Thein, M., Gyi, A., Sunn, K., Katakura, K. and Itagaki, T.
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Journal Title
J. Vet. Med. Sci.
Volume: 75
Pages: 309-314
Peer Reviewed
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[Journal Article] Vaccine potential of recombinant cathepsin B against Fasciola gigantica.2013
Author(s)
Pathanin Chantree, Manussabhorn Phatsara, Krai Meemon, Pannigan Chaichanasak,Narin Changklungmoa, Pornanan Kueakhai, Natcha Lorsuwannarat, Kant Sangpairoj, Sineenart Songkoomkrong, Chaitip Wanichanon, Tadashi Itagaki, Prasert Sobhon
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Journal Title
Experimental Parasitology
Volume: 135
Pages: 102-109
Peer Reviewed
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[Presentation] アジア産肝蛭の分子系統解析:ネパールおよびフィリピン産肝蛭の分子学的解析2014
Author(s)
正力 拓也,関 まどか,Bhuminand Devkota, Hari B. Rana, Shiva P. Devkota, Sudeep K. Humagain, Elena A. Villacorte,Pilarita T. Rivera,板垣 匡
Organizer
第83回日本寄生虫学会大会
Place of Presentation
愛媛大学城北キャンパス(愛媛県)
Year and Date
20140327-20140328
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[Presentation] Origin and spread of aspermic Fasciola sp. in Asia.2013
Author(s)
Tadashi Itagaki, Madoka Ichikawa-Seki, Takuya Shoriki, Pannigan Chaichanasak, Peng Mao and Keisuke Sakaguchi
Organizer
Joint International Tropical Medicine Meeting 2013
Place of Presentation
Centra Grand & Bankok Convention Centre(Thailand)
Year and Date
20131211-20131213
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