2011 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける無農薬・無化学肥料・無除草剤による低投入環境保全型水稲栽培の確立
Project/Area Number |
23405045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Field |
Boundary agriculture
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
安田 弘法 山形大学, 農学部, 教授 (70202364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沢田 裕一 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (90259391)
飯田 俊彰 東京大学, 農学生命科学研究科, 講師 (30193139)
粕渕 辰昭 山形大学, 農学部, 名誉教授 (00250960)
安藤 豊 山形大学, 農学部, 教授 (90005661)
藤井 弘志 山形大学, 農学部, 教授 (30431646)
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Keywords | 環境保全 / 資源低投入 / 自然共生型水田 / 東アジア / 無農薬・化学肥料 |
Research Abstract |
アジアの水稲栽培では、1960年代に始まった「緑の革命」により収量は増加したが数多くの問題が生じた。例えば、土壌の劣化や水田及びその周辺環境の悪化、生物多様性の激減による特定病害虫の多発等である。しかし、これらの諸問題を解決した低投入環境保全型のイネ栽培技術は、確立されていない。一方、東アジア等では、1983年に誕生した資源低投入で、多収が可能な「SRI農法(System ofRice Intensification)」が注目されている。しかし、現在、この方法で報告された多収記録と増収効果の信慧性を疑問視している研究者も多い。ここでは、日本の研究者を中心にした国際研究体制のもとで、緯度の異なる3力国での「SRI」農法水田の生物、物理、化学的特性を解明し、イネの個体、個体群、群集レベルの要因実験により「SRI農法」の信葱性を検証する。そして、これらの結果をもとに、多様な生物の機能を活用した無化学肥料・無農薬・無除草剤で安全で安定した新たな水稲増産技術である「新SRI農法」を確立することを4年間の研究目的としている。 気候や栽培体系の異なるインドネシア(ジョグジャカルタ:南緯7度)、スリランカ(ペラデニア:北緯6度)、ベトナム(ハノイ:北緯21度)を訪問し、「SRI農法」の基本である栽植密度と物理的除草回数がイネの生育に及ぼす実験を開始した。また、インドネシアのバリ島で4ヶ国の共同研究者による自然共生型水稲栽培の国際ワークショップを開催し、参加国の水稲栽培の実情と研究の進捗状況}とついて討論した。また、鶴岡で水田生物の多様性がイネの生育に及ぼす影響の要因実験などを開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初インドネシア(ジョグジャカルタ)、フィリピン(マニラ)、ベトナム(ハノイ)での実験を予定していたが、スリランカの研究者の共同研究参加の強い希望により、フィリッピンの代わりとしてスリランカを調査地とした。また、日本において水田生物の多様性がイネの生育に及ぼす影響の実験を開始した。さらにお互いの情報の共有と研究の進捗及び今後の方向性を協議するためインドネシアのバリ島で国際ワークショップを開催した。これらは当初の計画で予定していなかったことで、これらの実施は当初の計画以上に研究が進展していることを示している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず、調査対象の3ヶ国と日本の水田でrSRI農法」の基本技術である栽植密度がイネの生育と収量に及ぼす影響に普遍性があるか検討する。さらに「新SRI農法」の基幹技術として考えている、殿物理的除草回数がイネの生育に及ぼす影響についても4ヶ国で同じ実験を実施し、その普遍性の有無を検討する。
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Research Products
(4 results)