2011 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナムにおけるダイオキシン類暴露と性ホルモン・前立腺がんに関する疫学研究
Project/Area Number |
23406018
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
城戸 照彦 金沢大学, 保健学系, 教授 (20167373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 秀昭 金沢医科大学, 医学部, 教授 (00097437)
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Keywords | 環境保健 / ベトナム / ダイオキシン類 / 性ホルモン / 前立腺がん / 前立腺特異抗原 |
Research Abstract |
ベトナム戦争中に散布された枯葉剤に含有するダイオキシン類は、外因性内分泌かく乱化学物質の1つである。動物実験の報告はあるが、人体への健康影響は未だ解明されていない。また「ベトナムはダイオキシン類の生体影響についての世界的な実験場」と呼ばれ、ダイオキシン類の高濃度暴露による影響を明らかにできる貴重な地域である。我々は、ベトナム側研究者と2002年より共同研究を継続中で、近年、ベトナムで採取した唾液中の性ホルモンを日本国内に移送し、高感度精密測定が可能なことを少数例であるが確認した。 本研究の目的は、十分な対象数でダイオキシン類と性ホルモンの関連性を明らかにし、早期指標の確立を目指す。さらに、泌尿器科専門医との連携の下、性ホルモンとの関連性が強い前立腺がんをその特異抗原であるPSAを用いて、ダイオキシン類暴露との関連について検討することである。 本年度の調査期間は、平成23年8月5-16日。調査地区は、枯葉剤散布地区がベトナム中南部のBinh Dinh省Phu Cat県、旧米軍基地周辺。対照地区はベトナム北部Ha Nam省Kim Bang地区。ハノイから南に30kmの農村地帯。対象者は、枯葉剤散布地区から無作為抽出した男性住民100名と対照地区の男性住民98名であった。排尿障害等、前立腺疾患を疑わせる者には日本より同行した泌尿器科医が直腸診を実施した、質問票を現地スタッフが面接により聴取した。血液は約10ml採取し、採血後は直ちに遠心分離し、血清はダイオキシン類・性ホルモン・前立腺特異抗原(PSA)の分析用に小分けをした上で冷凍保存し、調査終了後日本国内に搬送した。分析は、既に、性ホルモンとPSAについては終了し、現在、ダイオキシン類の分析が進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ハノイ医科大学の共同研究者を通じて、事前に両地区の医療スタッフとの連携が十分取れており、対象者の適切な選定、調査当日の非常に高い参加率により、初年度で調査対象者については、ほぼ当初の目的の参加数を確保することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
生体試料を順次分析している段階である。血清ダイオキシン類の分析については、今回初めて分析を試みており、事前の検討を十分した上で、24年度に測定を開始する予定である。但し、血清ダイオキシン類の分析は大変高度な分析技術を要し、かつ分析費用も高額であるので、時間をかけて慎重に分析を遂行する計画である。
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