2012 Fiscal Year Annual Research Report
HLA-Aアリルの東アジアにおけるベーチェット病遺伝要因としての意義に関する研究
Project/Area Number |
23406031
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Section | 海外学術 |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹内 二士夫 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70154979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑田 昇治 帝京大学, 医学部, 教授 (00241993)
蕪城 俊克 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00280941)
針原 伸二 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40198932)
萩野 昇 帝京大学, 医学部, 講師 (40466769)
野口 博司 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (60126141)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ベーチェット病 / ブドウ膜炎 / HLA-A*2601 / 遺伝因子 / 3次元構造 / IL-23R / 民族差 / MICA |
Research Abstract |
ベーチェット病(BD)におけるHLAの遺伝因子としての意義を検討するとともに、東アジアにおけるその民族差、IL23R等の候補遺伝子との関連を検討する事で、BDの遺伝的背景を明らかにする事が本研究の目的である。日本の正常人検体は、総計約200検体についてHLA-A及び-Bのタイピングがほぼ終了した。但し、韓国においてA*02:07、B*30:04とBDの相関が認められたため、日本人についても詳細タイピングを既法で検討するとともに、簡便法を開発中である。BD検体は、総計150検体を収集できており、同様にHLA-A,Bについてタイピングを行なっている。検体収集は来年度以降も行なっていく予定である。タイではコントロール99例のHLA-A,Bを分析中であり、BDは現在サンプリング中である。台湾ではサンプル輸送の許可が取れず、BD30検体を台湾国内で分析中。今後はタイピングの技術サポートと情報交換が中心となると思われる。韓国ではBDを200例以上採取し独自で分析中であり、共同研究としては情報交換が主体である。共通の臨床カードを用いてデーターベースを作成中であるが、各国においても各々作成しておりデーターは各国で管理されている。各国との協議では、進行状況確認、データーベース化の確定、サンプル輸送に問題のある場合はその打開策の検討と現地でのタイピングや技術支援等の必要性を検討した。疾患感受性アリルであるHLA-A*26:01とB*51:01の立体構造についてのチュラロンコン大学理学部との共同研究では、MICA蛋白に対する結合能を比較したデーターを得た。さらに他の候補蛋白に対する結合能や、HLAアリル間での構造の差についても検討中である。一方、IL23R-IL12RBのSNPの一つについてコントロールの分析がほぼ終了しBDについて分析中。タイのコントロールについてもほぼ分析は終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正常及び患者検体のHLA-A,及びBアリルのタイピングを開始した。特にA*26、B*39及びB*51は従来の方針どうり詳細タイピングを行なっている。 正常人検体は、総計約200検体についてHLA-A及び-Bのタイピングがほぼ終了した。但し、韓国においてA*02:07、B*30:04とBDの相関が認められたため、日本人についてもA*02:07等は詳細分析する事とした。また、A*0207については簡便法を開発している。BD検体は、総計150検体を収集できており、同様にHLA-A,Bについてタイピングを行なっている。遅れている帝京大学の研究倫理委員会承認は分担研究者を中心に作業中である。臨床情報は、診断基準、臨床カードを統一し基本的データーベース型を基に各国で管理している。海外との共同研究は基本承認が得られている。タイはコントロール99例のHLA-A,Bを分析中であり、BDは現在サンプリング中である。台湾では輸送の許可が難しく独自で分析を開始。ベトナムも輸送の問題があり、協議中。チュラロンコン大とのHLA三次元構造解析ではまずMICA蛋白への結合能の分析を完了し、さらに他の候補蛋白に対する結合能や関与しないHLAに対する結合能についても検討している。HLA以外の候補遺伝子として、IL23R/12RB領域のSNP rs1495966 (A/G) をDraIにてPCR-RFLP分析を行なった。健常者 112名では32.1%がGG、45.5% がGA 、23.2% がGの表現型頻度は53.4%、Aは46.6%という中間結果が得られている。BD患者についても分析中。これらの事より、概ね順調に進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、正常人検体は総計200例以上、患者検体は総計175例以上となるよう、更に検体収集を進めていく予定である。遅れている」帝京大学の承認も早急に得る予定である。収集した検体についてはHLA-A、-Bの分析を順次行なっていくが、従来の計画にあるA*26、B*51に加えて、A*02、B-30の詳細タイピングを行い、同時に簡便法の開発も進めていく予定である。海外の検体に関しても、患者40例を目標に更に検体収集をすすめるとともに、臨床データーベースの作成を進め、集った検体から順次HLA分析を行なっていく予定である。検体数については有病率に大きな差があるため一律ではなく可能な限りとするが、本研究終了後も引き継げるような共同研究体制の構築をめざす。検体送付が困難な国の場合は各国での分析を依頼し、技術支援、情報交換を進める事とするが、それらの国については結果が遅れることも予想される。臨床データーベースでは各国の眼科医との連携を強めて、眼科的臨床所見をデーターベースに加えるよう協議を進めていく。HLA以外の遺伝要因については、IL10, IL23R/12RBを中心に民族差も含めて分析を進めていく予定である。最近報告されたPSORSICI,ERAP1,HLA-F-AS1,HLA-C 等については、分析の必要性を含めて基礎検討を行なう予定である。3次元構造解析は本研究の中心課題の一つであり、25年度以降では病因候補蛋白との結合能の比較、HLA構造比較を中心に、臨床情報も適宜提供し情報交換しながら、基礎と臨床との共同研究の形で研究を更に進めていく方針である。また、推定された候補蛋白を、病因蛋白として同定するための手法について検討する予定であるが、そのためには基礎と臨床の共同作業が必要となるため、そのためのシステム作りを行なっていく予定である。
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Research Products
(28 results)