2012 Fiscal Year Annual Research Report
国際的格差社会を生き抜くための人間の安全保障から考える健康生活確保と地域社会要件
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23406040
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
大西 真由美 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60315687)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 社会格差 / コミュニティ力 / 家族力 / 人間の安全保障 / サブサハラ・アフリカ |
Research Abstract |
【タンザニアにおける調査】H24年度は、タンザニア側共同研究者を日本に招へいし、これまでに収集したデータの分析・考察のために集中的にディスカッションを行った。その一部は、Health Science Researchに発表された(2013年)。 【モザンビークにおける調査】2008年にセックスワーカーに対し、リスク回避に関するヘルスリテラシーについてインタビュー調査を実施した地区において、同様のインタビュー調査を実施した。従来から営業しているバー等、セックスワーカーらが客待ちをする店舗において、一般客(金銭を介したセックスを目的としない客)の割合が多くなり、またセックスワーカーもカジュアル化している傾向が認められた。2008年の調査当時に認められたハイリスクなセックスワーカーらは、他の地区に移動し、営業しており、ハームリダクションのためのアプローチも、継続的なモニタリングの下、地区毎のセックスワーカーの特徴やニーズに基づいて構築・実施される必要性が示唆された。 【ナイジェリアにおける調査】658名の10-19歳の孤児(エイズ孤児および、母親のみあるいは父親のみを亡くしたsingle orphanを含む)に対する24時間想起法インタビューによる食事調査において、タンパク質摂取状況を分析した。1日3食摂取できていた孤児は470人(71.4%)であった。それぞれの食事におけるタンパク質摂取状況は、朝110名(16.7%)、昼86名(13.1%)、夕72名(10.9%)であり、1日2回以上摂取した者は49名(7.4%)、そのうち3回摂取した者は11名(1.7%)であった。現在の養育者が「母親」である場合(父親を亡くしたsingle orphan)、「母親」以外の者(祖父母、父親、親戚等)と比較し、タンパク質を摂取している割合が高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H24年度は、タンザニアでの調査データの分析およびモザンビークにおける現地調査を実施できた。また、タンザニアでのHIV養成女性の健康水準、健康観に関する調査を実施予定であったが、それをH25年度計画に見送ることとし、当初H25年度計画であったナイジェリアにおける孤児の健康と栄養に関する研究を前倒しで実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度は、タンザニアでのHIV陽性女性の健康水準、健康観に関する調査、ならびに孤児の健康と栄養に関する調査をする予定である。モザンビークおよびナイジェリアにおける調査についても、現地共同研究者との協力の下、更に分析を進める予定である。いずれの国々も治安状況に注意しながら、研究計画を進めていくこととする。
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