2011 Fiscal Year Research-status Report
ゲーム情報学:And-Or木の探索とゲーム・パズルの難しさの研究
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23500037
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
岩田 茂樹 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (80102028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠井 琢美 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (70027382)
武永 康彦 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (20236491)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ゲーム情報学 / And-Or木 / ゲーム・パズルの複雑さ |
Research Abstract |
本研究は、ゲーム情報学全般にわたる研究のうち、(1) And-Or 木のコンピュータによる探索、と (2) ゲームやパズルの複雑さに関する研究を行うことを目的とする。 And-Or 木の探索については、16要素のソートに必要な最小比較回数をコンピュータで計算する計画を立てていた。この計算は、16要素をソートするためのすべての比較を行う And-Or 木を探索することによりなされる。東日本大震災の影響で、平成23年夏は節電を強く求められたこともあり、コンピュータによる計算を平成23年10月まで開始できなかった。現在まで約半年間計算を行ったところ、この探索木の大きさは当初想定していたものよりはるかに膨大であり、すべて探索し尽くす計算を行うことは本科学研究費研究実施期間内に終了できそうにないことが明らかになりつつある。16要素のソートは45回の比較でできるかどうか、は未解決の問題である。16要素のソートに必要な最小比較回数が45である、または45回の比較ではソートできない、との結果を得るのに探索木をすべて探索する方法では解決できない可能性がある。今後は別の方法、たとえば、45回の比較で16要素をソートする具体的なアルゴリズムを発見する計算を行うなど研究計画を一部修正することを検討することになる。 ゲームやパズルの複雑さに関する研究は、いくつかの研究成果が得られ、それらの成果は研究会で発表が行われた、かまたは学術誌に掲載される。海外の文献で複雑さが未解決である、とされたパズルについて、研究代表者はそのパズルの複雑さを明らかにした。この研究内容をまとめた論文は平成24年中に国際学術誌に掲載される。また研究分担者の武永は、パンデミックゲームについての複雑さを求め、これも平成24年中に学術誌に掲載される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画のうち、And-Or 木のコンピュータによる探索を行う研究については、16要素のソートに必要な最小必要比較回数を求める計算を実施する計画であった。研究実績の報告で述べたように、約半年間におよぶコンピュータによる計算で、16要素のソートのための45回の比較をすべて調べるための And-Or 探索木を調べつくす方法では、本科学研究費助成事業が終了する平成25年度までに計算が終了できそうにないことがほぼ明らかになった。したがって今後は45回の比較で16要素をソートするための具体的アルゴリズムを発見するための計算や、別の視点からAnd-Or木のコンピュータによる探索を検討することになる。 本研究計画のゲーム・パズルの複雑さを明らかにする研究では、いくつかの問題について結果が得られた。研究代表者は、海外の文献で「複雑さが未解決」とされたいくつかのパズルについて複雑さを明らかにした。研究分担者の武永はパンデミックゲームの複雑さを求めた。これらはいずれも平成24年中に学術誌に掲載される。 平成23年度の研究計画達成度としては「おおむね順調」とする。And-Or 木の探索で16要素のソートに必要な最小比較回数をコンピュータで計算する計画は、探索木をすべて調べる方法では解決しそうにないので、今後研究方針の一部修正を検討する。一方、ゲームやパズルの複雑さに関する研究は計画通り、またはそれ以上に順調に進んでいる、と総括できよう。
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Strategy for Future Research Activity |
And-Or 木のコンピュータによる探索を行う研究については、16要素のソートに必要な最小必要比較回数を求める計算を実施する計画を一部見直し、45回の比較で16要素をソートするための具体的アルゴリズムを発見するための計算や、別の視点からAnd-Or木のコンピュータによる探索に関する研究を実施する。たとえば And-Or 木の探索をコンピュータで行うための都合の良いデータ構造を検討する。And-Or 木の探索においては、ハッシュ表などに計算途中の情報を格納して計算を進めていく必要があるが、使いやすいハッシュ表などの構造を工夫してみたい。 ゲーム・パズルの複雑さの研究については、平成23年度に引き続き行い、ゲーム・パズルの難しさを明らかにし、いろいろなゲーム・パズルの性質を解明する。複雑さの証明については、研究代表者らは多少の経験もあるので、何とか研究を進められるものと考えている。複雑さの証明が困難となるゲーム・パズルもあるので、対象とするゲームやパズルを注意して選ぶ必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費の交付予定額は60万円である。研究費は、交付申請書記載の通りに使用する予定である。これらの経費を有効に使用し研究成果に結び付けたい。 研究代表者や研究分担者の資料収集や、他の研究者との研究打ち合わせなどの旅費として40万円を使用する。主に国内の旅費を想定している。 昨年度にコンピュータを6台購入した。これらのコンピュータを用いてAnd-Or木の探索に関する計算やその他の計算を実施する。プログラム作成で大学院生に手伝ってもらい謝金を支払うが10万円を予定している。 その他、論文別刷費、消耗品などに10万円を予定している。
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Research Products
(4 results)