2013 Fiscal Year Research-status Report
平均顔生成のためのガイドラインと標準顔への展開に関する研究
Project/Area Number |
23500263
|
Research Institution | Hokkaido Information University |
Principal Investigator |
向田 茂 北海道情報大学, 情報メディア学部, 准教授 (70374105)
|
Keywords | 平均顔 / 標準顔 / ガイドライン / 生成 |
Research Abstract |
平均顔は、単純な構造と明快な効果からこれまで変わることなく多方面で使われ、顔研究の発展に大きく寄与してきた。平均顔は顔研究における基準の顔として重宝される素材であるが、何枚の顔写真を用いて平均顔を作成すれば良いかといった平均顔を生成するためのガイドラインは特にない。本研究では、平均顔生成のためのガイドラインの作成を目的とし、ガイドラインの作成に必要なツールの開発と、データ収集を行っていく。具体的には、1.年齢や性別などの属性と平均顔の生成に必要な顔写真の枚数との関係を検証する。2.平均顔および、その拡張である標準顔を容易に作成・操作するためのツールを開発し、顔画像の生成環境を整備する。3.平均顔・標準顔の生成に必要な個人の顔写真の収集をおこなう。 3年目となる平成25年度は、顔が似ていると感じさせる要因について顔の部位の効果の観点から検討を加え論文にまとめた。実験の結果、操作された顔の部位および、その示唆性にかかわらず、典型的な顔のペアのほうが特徴的な顔のペアよりも互いの類似性が高いと評定された。しかし、2つの顔の部位が特徴的に似ているときには、顔としてより似ていることを実験結果は示した。また、異なる年代の顔画像から作成した平均顔が、同一人物として知覚されるかなどの認知実験をおこなった。 顔画像合成ツールの開発については、開発環境の整備をおこなった。しかし、開発環境の変化により、既存のソフトウェアも動作しなくなるという問題が生じた。こういった問題に対応するため、プログラムの修正などをおこなった。年代別顔画像データベースの構築については、平成25年度は20代男女を中心に56名の顔写真の収集をおこなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
顔が似ていると感じさせる要因について顔の部位の効果の観点から検討を加え論文にまとめられたことは成果であった。しかし、顔写真の人物が太っているか、やせているかを答える顔の印象に関する実験の分析を進めることができず、工学的検証ができなかった。この点は、計画から遅れが生じている。 また、顔画像合成ツールの開発については、開発環境の整備は進められたものの、新しい環境やプラットフォームでは、既存のソフトウェアが動作しなくなる問題が生じた。これらの対応をおこなったことにより、予定通りに開発を進めることができなかった。また、標準顔を簡易に生成するためのシステムについても、開発に着手できていない。 顔写真の収集については、10代後半から20代前半の男女、計56名(男性:31名、女性:25名)の顔写真を収集することができた。本研究期間中に200名の顔写真の収集を目指しているが、これまでに収集した144名から、56名の顔写真が加わり、合計200名となった。顔写真の収集については目標数を達成した。しかし、年代別で見てみると、高齢者のデータが少ないことから、十分な数の顔写真がそろっていない年代の補充も必要である。 また、平均顔の生成に関するガイドラインの作成については、平均顔の形状に着目した検証だけではなく、テクスチャに関する検証も必要であり、ガイドラインの作成には至っていない。しかし、似ていると感じさせる要因について、顔の部位の効果の観点からの分析を進めたことで認知的観点での進展はあったといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成26年度は、研究をまとめていかなければならない。しかしながら、これまで順調に進まなかった点もあり、それらの点に注力をしつつ、遅れを取り戻せるよう研究を進めていく所存である。平均顔の作成に必要かつ十分な顔写真の枚数の検討について、年齢の観点から分析した結果を会議で発表する予定である。さらには、平均顔の生成に用いる顔写真の枚数とテクスチャの関係について工学的な観点からの分析を進める必要がある。それらの結果とあわせ、平均顔作成のためのガイドラインへとつなげていきたい。 また、平均顔・標準顔の生成のためのツールの開発についても進めていく。これまでは、Linux、Windows といったOS 上で動作するものであったが、これらに加えてMacOSなど、他のプラットフォームでも動作するよう改良する。また、平均顔をさらに改良し、より年齢特徴の表現精度を高めた標準顔については、簡易な操作で合成が行えるよう、システムの開発をすすめる。標準顔の簡易操作生成システムにも、Linux、Windows そして MacOS などのマルチプラットフォーム環境で動作するものの開発を目指す。 顔写真の収集については、本研究期間内での目標であった200名の顔写真の収集は達成できた。しかしながら、年代別で見ると、これまでに収集した顔写真を含め、高齢者の顔写真が不足しているといえる。このことより、30名程度の高齢者の顔写真の収集を目指したい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた国際会議への参加を見送ったことや、開発およびデータ整理が計画通りに進められなかったことにより、次年度に繰り越すこととなった。 次年度は、国際会議、国内会議への参加を計画している。また、論文投稿費用と、システム開発、管理のためのコンピュータ設備の増強、データの整理のための学生アルバイトの雇用、情報技術関連図書の購入、データ管理および発表のための備品の購入などの費用が発生する。
|