2013 Fiscal Year Research-status Report
大脳皮質形成の基盤となるニューロン動態制御機構のライブ観察に基づく解明
Project/Area Number |
23500410
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
榊原 明 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20510217)
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Keywords | 神経科学 |
Research Abstract |
本研究は三次元的に進行する脳形成におけるニューロンの移動、樹状突起形成、神経軸索形成といった形態形成活動をライブで捉え、その根幹となる分子メカニズムを細胞生物学的見地から解明することを目指している。今年度も昨年度に引き続き、ニューロン移動後期段階の細胞形態制御機構にアプローチするための発現時期遅延型遺伝子発現実験系構築に取り組んでいる。これまでに、ニューロン特異的な転写プロモーターとしてアルファチューブリン(Ta)プロモーターに代わりNeuroDプロモーターを利用する遺伝子発現系構築を試みたが、NeuroDプロモーター活性がニューロンの成熟にともない減衰し持続的な過剰発現には不向きであるということが判明した。そこで当初の計画を変更してNeuroD-CreとTaプロモーターを組み合わせた発現系を用いて再検討している。一方で、マウス大脳皮質ニューロンにおいて外来性遺伝子の過剰発現をする際に有効な転写プロモーターについて本研究で比較検討した結果を関連分野の研究者に広く発信するための原著論文を投稿準備中である。今年度は国内外の研究室との共同研究にも精力的に取り組み、2報の原著論文として発表することが出来た。また、ドイツ、ミュンスター大学のアンドレアス プシュエル教授との共同研究においても、コンディショナルノックアウトマウスの表現型解析にTa-Creを利用する実験系を提供し、良好な結果が得られており、既に原著論文として投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度は主に大脳皮質ニューロンにおける遅延型遺伝子発現システムを確立するための条件検討を引き続き行い、NeuroDプロモーターを利用する場合の制約等、有用な情報が沢山得られたが、当初の予定にあった分子レベルでの機能阻害実験などには取りかかることができていない。現在、これまでの研究から蓄積されてきたニューロンにおける転写プロモーターの性質についての有用な基礎データを原著論文として発表する方向に切り替えて投稿準備を進めており、来年度中に原著論文の発表まで達成出来ると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) これまでの研究で、マウス大脳皮質ニューロンにおいて外来性遺伝子の過剰発現をする際に有効な転写プロモーターについて比較検討した結果を原著論文として発表する。 (2) NeuroD-Cre依存的にshRNAを発現するコンディショナルノックダウンベクターを利用する遺伝子ノックダウン系を確立する。 (3) NeuroD-CreとTaプロモーターを組み合わせた過剰発現系を用いて、細胞形態・細胞骨格制御因子に関する機能解析を分子レベルで行うための実験系を確立する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に、NeuroDプロモーターを用いた遅延型遺伝子発現システムの確立を目指していたが、NeuroDプロモーター活性がニューロンの成熟にともない減衰し持続的な過剰発現には不向きであるということが判明した。そこで計画を変更してNeuroD-CreとTaプロモーターを組み合わせた発現系を用いて再検討することとしたため、未使用額が生じ、次年度使用額が生じた。 NeuroD-CreとTaプロモーターもしくはshRNA発現ベクターを組み合わせた発現システムを利用した実験系の確立を進めつつ、これまでの研究から得られている成果を原著論文として発表するため、未使用額は遺伝子導入実験等で使用する消耗品費、英文校正の謝金、論文投稿・掲載料等に充てる。
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Research Products
(9 results)