2013 Fiscal Year Research-status Report
大脳皮質形成の神経細胞移動と配置におけるERK1/2の役割
Project/Area Number |
23500421
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
今村 宰 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 准教授 (40534954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧嶋 邦夫 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 教授 (50531365)
伊達木 穣 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 助教 (00415879)
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Keywords | 神経細胞移動 / 大脳皮質形成 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本年度は、Erk2-floxマウスまたはErk1(-/-)Erk2-floxマウスをSynapsin I-Cre Tgマウスと交配することにより、神経細胞におけるErk1/2の役割について検討した。Erk2ノックアウトマウス(Syn-Erk2)では成長障害や神経発生異常は認められなかった。Erk1/2ダブルノックアウトマウス(Syn-DKO)はメンデルの法則に従い正常に生まれたが、生後5日目から成長遅延を呈し、10日目頃より歩行障害などの運動機能異常が観察されるようになり、2週間以内に全て死亡した。また、大脳や海馬、小脳がSyn-Erk2よりも顕著に委縮していた。発生段階的に大脳皮質をヘマトキシリン・エオジン染色ならびに層構造特異的なマーカーに対する免疫染色により観察したところ、Syn-DKOでは胎生後期より層構造の乱れに加えて表層と深層に局在する細胞数の減少や形態異常が認められた。この原因として神経細胞移動に障害がある可能性が考えられたため、ブロモデオキシウリジンを用いたBirth dating解析を行った結果、中間帯から皮質板への進行が遅延していることが明らかとなった。一方、Nestin-Cre Tgマウスとの交配により作出されたErk1/2ダブルノックアウトマウスで見られた放射状グリアの突起構造異常は観察されなかったことから、大脳皮質形成における放射状移動と配置にはErk1/2の自律的機能が重要であると考えられた。また、大脳皮質抽出液を出発材料として、二次元電気泳動とLC-MS/MSおよびリン酸化抗体アレイによるプロテオーム解析を行ったところ、Erk1/2欠損により発現量が変動するタンパク質として、細胞移動に関与する細胞骨格系タンパク質やその調節因子を同定した。現在、これらのタンパク質とErkとの機能的関連性について検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経細胞特異的Erk1/2ダブルノックアウトマウスの作成、表現解析およびErk1/2欠損により大脳皮質で発現変動するタンパク質を複数同定することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はノックアウトマウスの組織学的な解析に加えて、初代培養神経細胞を用いた分子生物学的解析を進め、細胞移動異常を引き起こす分子メカニズムを解明していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
繰越金が生じたのは、当初計画で見込んだよりも安価に試薬・消耗品等の購入ができたためである。 平成25年度の未使用分(197,259円)は、試薬や消耗品等の購入に使用する予定である。
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