2011 Fiscal Year Research-status Report
TDP43プロテイノパチ-におけるRNA代謝異常:ストレス顆粒形成機構の解明
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23500424
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
森 文秋 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60200383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹治 邦和 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10271800)
若林 孝一 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50240768)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | TDP43 / ストレス顆粒 / ブニナ小体 / FUS / optineurin / 筋萎縮性側索硬化症 / TDP43プロテイノパチー |
Research Abstract |
ストレス顆粒は、ストレス環境下で、RNAとRNA結合タンパク質によって細胞質に形成され、異常なタンパク質の集積を防ぐ。本研究では、TDP-43プロテイノパチーにおけるストレス顆粒の組織分布、細胞内局在、さらに酸化ストレスの負荷あるいは減弱時のストレス顆粒の動態を調べることにより、RNA結合タンパク質であるTDP-43の封入体形成過程、ブニナ小体、神経細胞死との関連を明らかにし、TDP-43プロテイノパチーにおけるストレス顆粒の形成機構とその意義を解明することを目的とした。本年度は、ヒト剖検組織におけるストレス顆粒の組織分布および細胞内局在を明らかにするために、筋萎縮性側索硬化症患者の下位運動ニューロンにおけるブニナ小体、TDP-43封入体とストレス顆粒の関連性を検討した。その結果、(1)ストレス顆粒マーカータンパク質の発現が、筋萎縮性側索硬化症患者の脊髄前角ニューロンでは、正常コントロールのそれよりも減弱していること、(2)ストレス顆粒マーカータンパク質は、ブニナ小体の近傍に存在していること、(3)TDP-43封入体の約10%がストレス顆粒マーカータンパク質の免疫染色性を示すことなどがわかった。これらの所見は、筋萎縮性側索硬化症の病態メカニズムにおいてストレス顆粒が重要な役割を果たしていることを示している。また、家族性筋萎縮性側索硬化症の原因遺伝子がコードするタンパク質であるFUSならびにoptineurinが、ハンチントン病を含むポリグルタミン病ならびに核内封入体病の核内封入体に局在することと併せて考えると、筋萎縮性側索硬化症以外の神経変性疾患においてもストレス顆粒が関与する病態メカニズムが想定される。ストレス顆粒が関与する病態メカニズムの解明が、筋萎縮性側索硬化症のみならず、これらの神経変性疾患の治療法開発に役立つ可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度は、トランスジェニックマウスに導入する変異遺伝子の選定ができていないため、TGマウスの作出が行えなかったので、TDP-43プロテイノパチーモデルマウスにおけるSG形成の動態をを検討できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度はトランスジェニックマウスの発注ならびにTGマウスの作出ができなかったので、当初使用する予定の研究費を平成24年度に繰り越した。平成24年度に、繰り越した研究費により、トランスジェニックマウスの発注ならびにPrionプロモーター下にヒトTDP-43遺伝子変異を導入したTGマウス(A315TTARDBP-TG; Jackson Lab.)を購入する。一方、若年性ALS患者のTDP-43遺伝子変異を導入したTGマウスを外部委託により早急に作出すると同時に、購入したTGマウスを使用して平成24年度の計画を遂行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
トランスジェニックマウスの発注ならびにPrionプロモーター下にヒトTDP-43遺伝子変異を導入したTGマウス(A315TTARDBP-TG; Jackson Lab.)を購入する。一方、若年性ALS患者のTDP-43遺伝子変異を導入したTGマウスを外部委託により早急に作出する。それと同時に、購入したTGマウスを使用して、以下の平成24年度の計画であるTGマウスにおけるSGの動態の検討を行う。Prionプロモーター下にヒトTDP-43遺伝子変異を導入したTGマウス(A315TTARDBP-TG; Jackson Lab.より購入)を用いて行動学的解析ならびに生化学的解析を行う。生後2,4,8,16,32週に、頸椎脱臼後、脳を取り出し、サンプルを抽出してTDP-43、Cystatin C、SGマーカータンパク質(TIAR, TIA-1, eIF3η, HuR)をウエスタンブロットで定量する。同一週齢で、凍結切片を作成後、TDP-43、Cystatin C、SGマーカーのcDNAオリゴヌクレオチドを用いたISH法によりmRNA発現分布を検討する。さらに、免疫組織化学的解析を行う。外部委託により作出されたTGマウスを実験動物施設に検査、導入後、同様の実験を実施する。
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Research Products
(17 results)
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[Journal Article] FUS immunoreactivity of neuronal and glial intranuclear inclusions in intranuclear inclusion body disease.2011
Author(s)
Mori F, Tanji K, Kon T, Odagiri S, Hattori M, Hoshikawa Y, Kono C, Yasui K, Yokoi S, Hasegawa Y, Yoshida M, Wakabayashi K
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Journal Title
Neuropathol Appl Neurobiol
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Ubiquitin-related proteins in neuronal and glial intranuclear inclusions in intranuclear inclusion body disease2011
Author(s)
Mori F, Tanji K, Odagiri S, Hattori M, Hoshikawa Y, Kono C, Yasui K, Yokoi S, Hasegawa Y, Kamitani T, Yoshida M, Wakabayashi K
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Journal Title
Pathol Int
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
Peer Reviewed
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[Journal Article] Dysfunction of extrasynaptic GABAergic transmission in PRIP-1 KO mice is associated with an epilepsy phenotype2011
Author(s)
Zhu G, Yoshida S, Migita K, Yamada J, Mori F, Tomiyama M, Wakabayashi K, Kanematsu T, Hirata M, Kaneko S, Ueno S, Okada M
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Journal Title
J Pharmacol Exp Ther
Volume: 340
Pages: 520-528
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] The AAA-ATPase VPS4 Regulates Extracellular Secretion and Lysosomal Targeting of alpha-Synuclein2011
Author(s)
Hasegawa T, Konno M, Baba T, Sugeno N, Kikuchi A, Kobayashi M, Miura E, Tanaka N, Tamai K, Furukawa K, Arai H, Mori F, Wakabayashi K, Aoki M, Itoyama Y, Takeda A
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Journal Title
PLoS One
Volume: 6
Pages: e29460
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Immunoreactivity of ubiquitin-related proteins in neuronal and glial intranuclear inclusions in intranuclear inclusion body disease2011
Author(s)
Mori F, Tanji K, Odagiri S, Hattori M, Hoshikawa Y, Kono C, Yasui K, Yokoi S, Hasegawa Y, Kamitani T, Yoshida M, Wakabayashi K
Organizer
The Second Congress of Asian Society of Neuropathology
Place of Presentation
Beijing, China
Year and Date
November 5th, 2011
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