2013 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス後肥厚部に発現するLRP4の高次神経機能への関与
Project/Area Number |
23500441
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
棚橋 浩 信州大学, 医学系研究科, 准教授 (90236654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 龍雄 信州大学, 医学系研究科, 教授 (80162965)
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Keywords | 神経可塑性 / シナプス / 合指多指症 / 歯数過剰 / 不正咬合 / 腎臓欠失 / 羊水過多 / アクアポリン |
Research Abstract |
本研究では胎生期の脳、成体の脳の神経新生、シナプス新生へのLRP4の関与を調べると共にKOマウスの学習・行動・情動等の高次神経機能を解析することによりLRP4の関与する神経回路形成、神経可塑性獲得の仕組みを明らかにする。 1)LRP4のconventional KOマウス、神経幹細胞特異的(Nestin-Cre)条件付きKOマウス、前脳特異的(CaMK2α-Cre)条件付きKOマウスを作製した。Lrp4 conventional KOマウスはすべて出生直後に呼吸不全で死亡し、合指多指症が見られた。また殆どのKOマウスに両方/片方の腎臓の欠損が見られた。Nestin-Cre Lrp4 KOマウスもすべて出生直後に呼吸不全で死亡したが、合指多指症、腎臓の欠損は見られなかった。一方、CaMK2α-Cre Lrp4 KOマウスは、同腹のマウスと同様に成長し繁殖可能であり、一部のKOマウスに合指多指症、歯数過剰、不正咬合が見られた。 2)Lrp4 conventional KOマウスを用いて胎生期の脳層構造の解析と4週齢のCaMK2α-Cre Lrp4 KOマウスをBrdU処理して海馬歯状回のBrdU陽性細胞数と4週間後のBrdU陽性細胞の生存率を解析したところ、コントロールとKOマウス間に有為な差は見られなかった。またBrdU陽性の細胞が神経細胞、アストロサイトいずれかに分化したか調べたが差はなかった。一方、CaMK2α-Cre Lrp4 KOマウスを用いて電気生理実験、行動科学実験を行うと予備的な結果ではあるが、いくつかの試験においてKOマウスに異常が見られた。 3)予期しなかった表現型としてE18.5 KO胎児で羊水過多が見られた。羊水は主として胎児腎臓で作られた尿が羊膜腔に排出されたものであるが、両腎の欠損のある胎児においても羊水過多が見られた。KO胎児は呼吸様運動、嚥下、卵膜からの羊水の取り込みに異常をきたし羊水の羊膜腔からの排出に障害がおこり羊水過多になったと考えられる。羊水量の調節は生産だけでなく羊膜腔からの排出がいかに大事かを示す結果となった。
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