2011 Fiscal Year Research-status Report
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23500443
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
小西 慶幸 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00382838)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 神経 / 微小管 / 翻訳後修飾 / ニューロフィラメント / 軸索 / 樹状突起 |
Research Abstract |
本研究課題では、微小管修飾を介した分子ネットワークとその機能を解析することで、微小管機能の調節を介して神経細胞の形態、機能を制御する一連の機構を明らかにする。本年度は神経細胞の形態解析のための実験系をセットアップするとともに、微小管の修飾のうちグルタミン酸化に焦点をあて機能の解析を行った。これまでの解析で、チロシン化に加え微小管のグルタミン酸化も軸索と樹状突起で異なっており、両者を認識する標識として機能する可能性が明らかになってきた。グルタミン酸化酵素TTLLファミリーのうちTTLL1, TTLL7を欠損したノックアウトマウスの脳組織を解析した結果、TTLL1, TTLL7の欠損により、脳組織において微小管を構成するチュブリンalpha, betaグルタミン酸化がそれぞれ特異的かつ顕著に減少することを見いだした。脳の重量や大まかな構造には顕著な異常は認められなかった。そこで、神経細胞内の微細構造を解析した結果、これらのマウスの神経細胞では、微小管の構造は保たれているものの、ニューロフィラメントが樹状突起において有為に減少することが明らかとなった。本年度の研究により微小管修飾の一つであるグルタミン酸化の神経細胞における役割について、これまで明らかにされていなかった新しい機能を見いだすことが出来た。また、樹状突起におけるニューロフィラメントの制御について微小管修飾との関連を新たに見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究機関を変更し新たにセットアップを行ったため、実験計画の一部を次年度に繰り越した。セットアップも順調に進み、最低限予定していた解析は十分に行えたと考えられる。特にグルタミン酸化による微小管修飾について神経細胞における新しい機能が得られたことは、重要な進展であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きグルタミン酸化の機能解析を継続するとともに、チロシン化の神経細胞の形態制御における機能について詳細な解析を行う。すでに軸索が形成される時期に神経極性の維持に関与することを示しているが、発生の時期に依存して機能することに留意して解析を進める。例えば、海馬神経細胞以外の神経細胞においても、極性の維持に関与するのか。神経細胞の非対称性が確立されるどの時期から機能するのか、成熟した細胞でも極性の維持に関与するのかについて解析する。さらに、同じ軸索でも突起の枝によって修飾の度合いが異なることを見いだしており、軸索パターン制御における機能についても解析を行う。初代培養を用いたRNAiによる機能解析を中心に進め、研究の進展に応じて、エレクトロポレーションによる脳室へのRNAiベクターを導入する手法など、生体における機能解析の実験系をセットアップする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究機関変更にともない一部の経費を次年度に使用することにした。実験環境のセットアップは順調に進んでおり、研究計画に大きな変更はない。
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