2012 Fiscal Year Research-status Report
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23500443
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
小西 慶幸 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00382838)
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Keywords | 神経 / 微小管 / 翻訳後修飾 / 軸索 / 樹状突起 |
Research Abstract |
本研究課題では、微小管修飾を介した分子ネットワークとその機能を解析することで、微小管機能の調節を介して神経細胞の形態、機能を制御する一連の機構を明らかにする。本年度は、前年度に引き続き脳神経系における微小管のグルタミン酸化の機能解析を継続し、回路形成における変化を解析した。また、これとは別の修飾であるチロシン化に着目し、神経細胞の形態制御における機能について詳細な解析を行った。この修飾については、すでに海馬錐体細胞において軸索が形成される時期に神経極性の維持に関与することを示しているが、発生の時期や神経細胞の種類に依存して機能が異なるのか否かを解析するために、小脳顆粒神経細胞を用いて実験を行った。まず小脳顆粒細胞を低密度で培養する新たな方法を確率することで、単一細胞内において詳細に微小管の修飾や形態の解析することが可能となった。この系を用いて実験を行った結果、チロシン化は小脳顆粒細胞においても軸索輸送の極性制御を担うことが明らかになった。しかし、培養後即座に軸索を進展し極性を確立する小脳顆粒細胞では、チロシン化阻害にともなって神経極性の形成に顕著な異常は観察されなかった。アセチル化などの修飾と強調して機能するか否か、微細な形態や機能に異常が生じるかを明らかにすることが今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初の研究計画通りに進展している。申請時の予想とは異なり、神経細胞の種類に依存して形態制御の分子機構が異なる結果が出ており、全体の機構解明には時間がかかっている反面、これまで明らかにされて来なかった神経細胞の種類に依存した形態制御についての理解が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果により、海馬錐体細胞と小脳顆粒細胞の極性形態機構は異なるものの、微小管のチロシン化修飾標識は普遍的に輸送極性の制御に関わることが明らかになった。今後、本研究課題の目的である微小管の修飾を制御するシグナル因子を明らかにする。これまで海馬錐体細胞において報告されている極性確立に関与するシグナル因子、LKB1, JNK, GSK3, PAK1のキナーゼについて阻害剤やノックダウンにより、下流での微小管チロシン化に変化が観察される否かを調べる。LKB1とチロシン化酵素(TTL)のノックアウトマウスで大脳皮質の層構造、軸索の異常が類似しているため、有力な調節因子であると考えられる。分子間相互作用、酵素のリン酸化、酵素活性を解析することで、極性シグナルと微小管チロシン化との直接的な相互作用を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は軽微であり、一般の消耗品の購入にあてる。
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