2013 Fiscal Year Research-status Report
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23500443
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
小西 慶幸 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00382838)
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Keywords | 神経細胞 / 軸索 / 樹状突起 / 微小管 / 極性 |
Research Abstract |
神経極性の形成・維持における細胞内シグナル因子と微小管の制御の関連を明らかにすることを試みた。前年までの結果より、樹状突起と軸索における微小管上のチュブリンの翻訳後修飾の違いは海馬錐体細胞と小脳顆粒細胞で同様に観察された。これに対し、海馬錐体細胞で神経極性および微小管の機能制御に重要な役割を担うGSK-3の阻害剤であるLiCl,BIOを小脳顆粒細胞に投与したところ、海馬錐体細胞では複数の軸索を誘導するのに対して小脳顆粒細胞においては神経極性への直接的な影響は観察されなかった。さらに小脳顆粒細胞においては軸索の伸長阻害がより顕著に観察された。同様の結果は変異体GSK-3betaの発現でも観察された。また、予備的な実験結果においてLKB1の阻害についても小脳顆粒細胞における極性異常は認められなかった。さらにチュブリンのチロシン化修飾酵素TTLの阻害でも小脳顆粒細胞では予想に反し、神経極性の異常は認められなかった。これらの結果から神経極性因子を介した細胞構造制御には神経の種類に依存した違いがあることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経細胞の極性形成・維持は多くの神経細胞に共通の問題であるが、その分子機構には予想以上に神経細胞の種類に依存した違いが存在することを見いだした。本年度は研究室内において神経細胞の形態変化や細胞内の分子動態を詳細解析するための実験系の確立に時間を要したが、現在は順調に解析を進めることが可能になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
神経極性の形成・維持に関与すると考えられる細胞内シグナル因子と微小管の制御が如何にして神経細胞の種類に依存した機能を示すのかを明らかにする。特に海馬錐体細胞と小脳顆粒細胞を比較し、シグナル因子の阻害により形態変化の過程について詳細なイメージングを行い、神経細胞に依存した違いが観察されるか否か解析する。また微小管上の翻訳後修飾の操作に依存した神経細胞の形態変化、細胞内分子の局在変化についてもタイムラプスイメージングによりその動態について詳細な解析を行う。実験系は既に確立しているものの、既存の装置のカメラは感度が低い問題があり、本年度の予算でグレードアップすることで鮮明なイメージを取得し、目的を達成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
神経細胞内の分子動態を観察する実験装置に不具合があった。細胞維持の装置の改善には主に他の研究資金を充てたため、次年度使用額が生じた。本助成金は下記のとおり次年度に研究課題を推進するために必要な改善をさらに行うことを予定した。 神経細胞内の分子動態を長期的に解析する実験系は既に確立したものの、既存の装置のカメラは感度が低い問題があり取得できるデータが限られている。このアップグレードの一部に使用することで、より鮮明なデータ取得を行う。
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