2012 Fiscal Year Research-status Report
神経回路形成における多様化膜分子群クラスター型プロトカドヘリンの機能解析
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23500447
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平林 敬浩 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (40297015)
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Keywords | protocadherin / gene targeting / iPS cells |
Research Abstract |
約60種類のアイソフォームからなる多様化膜分子群クラスター型プロトカドヘリン (cPcdh)は、個々の神経細胞で差次的発現をしており、神経回路形成において細胞の個性化に寄与していることが示唆されている。 本研究は同分子群の多様性を減少させた遺伝子改変マウス、および全てのcPcdh遺伝子を欠損したiPS細胞などを用い、cPcdh遺伝子の分子的多様性が神経回路形成時の細胞選択などに対し、どのような関与をしているかを明らかにすることを目的とする。 当該年度はこれまでに作製したcPcdh遺伝子に属するPcdhα遺伝子上の14種類の可変領域エクソンを1種類にし、同分子群の多様性を無くしたマウス(Pcdhα1マウス)について嗅神経系における神経投射の解析を行った。その結果、Pcdhα遺伝子を全て欠損したマウスで認められた嗅神経投射がPcdhα1マウスでは観察されなかったことなど、同遺伝子の分子的多様性について興味深い知見を得ることが出来た。これについては引き続き詳細な解析を進めていく予定である。また、全てのcPcdh遺伝子を欠損したiPS細胞を用いた研究では、同細胞を用いたキメラマウスを作製し、このマウスの脳を形態学的、電気生理学的な解析を行った。さらに、Cre発現依存的に全てのcPcdh遺伝子を欠損するcPcdh遺伝子コンディショナルノックアウトマウスの作製に成功した。これまでにcPcdh遺伝子ノックアウトマウスを作製したが生後まもなく死亡してしまうため生体における神経回路形成における同遺伝子の機能解析が不可能であったが、このコンディショナルノックアウトマウスを用いることで本研究の発展が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は同分子群の多様性を減少させた遺伝子改変マウス、および全てのcPcdh遺伝子を欠損したiPS細胞などを解析することで、cPcdh遺伝子の分子的多様性が神経回路形成時の細胞選択などに対し、どのような関与をしているかを明らかにすることを目的としているが当該年度までに解析に必要な遺伝子改変マウス、iPS細胞などの準備が整い、解析が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度においてcPcdh遺伝子コンディショナルノックアウトマウスを作製することが出来た。今後はこのマウスを脳の各領域特異的にCreを発現するCaMKII-Cre(海馬)、L7-Cre(プルキンエ細胞)などの各種Creトランスジェニックマウスと交配することで領域特異的にcPcdh遺伝子を欠損させたマウスを作製し、これらの遺伝子改変マウスを解剖学的解析により神経回路異常などの形態学的解析、各分子種の発現様式、さらには電気生理学的解析をする。また、これらのマウスに対しアデノウイルスまたはレンチウイルスを用いてcPcdh遺伝子の1分子種を発現させることでcPcdh遺伝子がもつ分子的多様性の意義をより詳細に明らかにする予定である。同様にCre発現依存的にcPcdh遺伝子の多様性が減少する種々の遺伝子改変マウスの作製も引き続き行う。さらにクラスター型プロトカドヘリンを欠損したiPS細胞を用いた研究では、同細胞にクラスター型プロトカドヘリンの1分子種のみを発現する安定株を用いて作製したキメラマウスの解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度は引き続き遺伝子改変マウス作製を計画しているので主にES細胞培養試薬、およびマウスの購入に充てる。また、前年度と同様にiPS細胞を用いるため、同細胞の培養試薬も購入する予定である。 旅費については国内の学会および研究会2件参加するために使用する。
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Research Products
(3 results)