2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23500466
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
少作 隆子 金沢大学, 保健学系, 教授 (60179025)
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Keywords | カンナビノイド / ストレス / CB1受容体 / うつ病 |
Research Abstract |
本年度は以下の3つの実験を並行して行った。<実験A>前年度に引き続き、培養海馬ニューロンを用い、内因性カンナビノイド2-AGのCB1カンナビノイド受容体を介さない効果のメカニズムの解明を試みた。その結果、2-AGの効果は2-AGの分解酵素MGLの阻害剤により抑制されることが明らかとなった。しかし、2-AGの分解産物であるアラキドン酸を細胞外より投与しても2-AGの効果は再現できなかった。<実験B>前年度に引き続き、グリア由来の培養株細胞であるU87細胞を用い、CB1受容体発現量に影響を及ぼす因子を探索したところ、低酸素条件によりCB1受容体発現量が低下することが判明した。<実験C>培養海馬ニューロンを用い、ストレスホルモンの影響を調べたところ、グルココルチコイドの1-2日処理はニューロンの興奮性を上昇させることが明らかとなった。 研究期間全体を通じて明らかとなったことは以下の4つである。(1)カンナビノイド系とニューロン活動はお互いに複雑に影響を及ぼしあっている。内因性カンナビノイドはニューロン活動により生成・放出されるが、放出された内因性カンナビノイドはCB1受容体を介してシナプス活動を抑制し、一方、その代謝産物は逆にシナプス活動を促進させる。(2)ストレスホルモンはニューロンの興奮性に影響を及ぼす。(3)CB1受容体発現量は酸素濃度の影響を受ける。(4)CB1受容体が多く発現している大脳基底核の働きに依存している確率的行動選択課題の結果は健常者とうつ病患者の間で差がみられる。 本研究では、培養細胞レベルから人の行動レベルまでの広い範囲で同時進行的に解析を行ったため、結果は断片的となってしまった。今後はさらに研究を発展させ、個々の結果を統合し「ストレスが如何に神経活動やカンナビノイド系に影響を及ぼしヒトの行動に影響をおよぼすのか」の仮説を立て検証を行う必要がある。
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Research Products
(4 results)