2013 Fiscal Year Annual Research Report
受容体トラフィッキングのキネティック解析によるシナプス可塑性分子機構の解明
Project/Area Number |
23500472
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山口 和彦 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (00191221)
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Keywords | 小脳 / プルキンエ細胞 / 学習 / シナプス可塑性 / 長期抑圧 / グルタミン酸受容体 / スパイン / 数理モデル |
Research Abstract |
脳の記憶・学習は、シナプス伝達効率の可塑的変化(シナプス可塑性)によって生じる。小脳は運動学習の中枢と考えられ、その基礎に小脳の平行線維-プルキンエ細胞間シナプスの伝達効率の長期抑制LTDがあると考えられてきた。即ち、誤った運動に関与した平行線維シナプスは登上線維活動により、減弱されるというものであり、LTDの分子機構としては、登上線維、平行線維の同時発火により、プルキンエ細胞内のCa2+濃度が大きく上昇し、C型蛋白質キナーゼPKCの活性化を介し、シナプスに存在するAMPA型グルタミン酸受容体のC末端をリン酸化し、足場蛋白質から遊離させ、脱安定化した受容体はエンドサイトーシスにより細胞内に内在化されシナプス膜表面から除去される、という仮説が提案されている。しかしこの仮説は定量的に検討されておらず、充分であるか不明であった。そこで、①テタヌス毒素などを用いシナプス膜におけるAMPA受容体の安定化プールサイズ、可動プールサイズを計測し、LTD前後での変化を検討した。②光分解により瞬時にエキソサイトーシスによる受容体挿入を阻害できるケージドペプチドを開発し、これを用いて受容体エンドサイトーシスの反応速度を測定し、LTD前後での変化を検討した。③ウイルスベクターを用いて赤色蛍光蛋白質mCherryのタグをつけたAMPA受容体を培養プルキンエ細胞(緑色蛍光蛋白質を発現)に発現させ、LTD前後のAMPA受容体の分布の変化、移動の様子を画像解析した。④以上の結果を統合したAMPA受容体トラフィッキングの数学モデルを構築した。この結果、小脳LTDの分子機構として、新たにAMPA受容体の細胞内プールが、LTDに伴い、樹状突起スパイン内から樹状突起シャフト部に移動し、受容体リサイクルに関与するAMPA受容体の総量が減少することがLTDの基礎機構に含まれていることを発見した。
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Research Products
(5 results)