2011 Fiscal Year Research-status Report
蛍光マウスを用いたX染色体不活性化のバイオイメージングと幹細胞研究
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23500492
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小林 慎 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 非常勤講師 (10397664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡部 勝 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (30089875)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | イメージング |
Research Abstract |
申請者はX染色体にGFP遺伝子を組み込むことにより、X 染色体の不活化の有無を細胞を生かしたままで簡便に見分ける方法を編み出すとともに、X染色体上に新規のインプリント遺伝子が存在することを発見している。X染色体不活化は現在、幹細胞の多能性を評価することができる指標としても注目を浴びるようになってきたが、これまで簡便なモニター法は報告されておらず未開拓のまま残されていた。本基盤研究では「リプログラミング」の実体を遺伝子レベルで可視化するというこれまで誰も手を付けてこなかった領域に踏み込み研究を行おうとするものである。X染色体の不活化を連続的にLive imagingとして検出する方法は申請者の独創的な試みであり、研究の成果はヒトなどのES細胞の効率的な作製などにも寄与するものと期待でき、再生医療の発展にも計り知れない影響を与える可能性がある。実験計画では、蛍光タンパク質のノックイン型のターゲティングベクターを作製し、XYおよびXXES細胞を用いて、標的部位に相同組み換えで蛍光タンパクを挿入する予定である。細胞内で蛍光タンパクを定量的に観察するには、蛍光タンパクを核に局在させると良い。まず最初に、2種類の核移行シグナル(NLS)をGFPタンパクに融合させ、その蛍光強度、および細胞内の局在パターンを、293T細胞にベクターをトランスフェクションすることにより観察した。最終的に核内に局在し、より蛍光強度が強いNLSを選ぶことにした。次に、蛍光タンパクを染色体に挿入する時には、挿入位置や挿入方向が発現に及ぼす影響を及ぼす可能性が考えられる。これらの点について評価するため、複数のベクターを作製し比較検討を行っている。H23年度は、幾つかの種類のベクターでES細胞相同組み換え体が得られた。モニタリングシステム完成のための準備が順調に整えられている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外の研究室に依頼していた相同組み替えに使用するES細胞の入手が、予定より時間がかかり計画がずれ込んだいが、それ以外の実験は順調に進んでいる。入手したES細胞も順調に増殖し、ノックインに用いるターゲティングベクターも完成したので、おおむね研究は順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、残りのノックインベクターの相同組み替えを行う予定である。全ての組み替え体が完成した後、細胞において、蛍光蛋白の強度を評価し、最も安定し、明るく蛍光が観察出来る組み替え体を選び出す予定である。また、続いてXX型の雌ESを用いてターゲティングを行う。XX型ES細胞は既に分担者である阪大・岡部らにより樹立されている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
相同組み替えはNPO法人発生工学研究会に業務委託にて進める計画である。NPO法人はこれまで、100を超える相同組み替えラインの作製実績があり、順調に研究をすすめる準備が整っている。また、必要に応じてES細胞培養の為の培地、試薬、培養シャーレなどの消耗品を購入予定である。
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