2012 Fiscal Year Research-status Report
マイクロミニピッグの基盤整備:MHC固定ブタの作出と細胞免疫学的特性の解析
Project/Area Number |
23500502
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
安藤 麻子 東海大学, 医学部, 准教授 (40101935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椎名 隆 東海大学, 医学部, 准教授 (00317744)
北川 均 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (70144003)
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Keywords | MHC / SLA / ミニブタ / MHC固定ブタ / ハプロタイプ / 中型実験動物 |
Research Abstract |
超小型ミニブタであるマイクロミニピッグ(MMPs)について、MHC (主要組織適合抗原遺伝子複合体)固定MMPsの作製を試みている。2012年度は、58頭のMMPsについて、SLAクラスI遺伝子 (SLA-1, SLA-2, SLA-3)について、アリルグループ特異的プライマーセットを用いたPCR-SSP (Sequence specific primer)法による簡易タイピングと、RT-PCR産物の塩基配列解読により、アリルタイプを決定した。この結果、MMPs集団には、SLA-1: 9種類、SLA-2: 8種類、SLA-3: 8種類の4桁レベルのアリルが検出され、新ハプロタイプを含む8種類のSLAクラスIハプロタイプの存在が明らかになった。2011年度に明らかにしたクラスIIハプロタイプの情報と合わせて検討すると、この集団には8種類のクラスI, IIハプロタイプ(Hp-10.11, -16.16, -17.17, -20.18, -35.23, -43.37, -6.7, -New.13)が見出された他、組み換えハプロタイプも検出された。 また、MHC固定MMPsの作出を試みたところ、38.1%と最も出現頻度が高いHp-35.23の他、Hp-17.17, -10.11は、これらのハプロタイプをホモに持つ個体が見出された。Hp-43.37は20.1%と出現頻度が高いにもかかわらず、ホモ個体は検出されていない。今後、他のハプロタイプについてもホモ個体の作出のための交配とタイピングを続行し、リンパ球混合培養反応などによる細胞免疫学的特性のハプロタイプ間の比較解析に用いるホモ個体の種類と頭数を増加させる予定である。 一方、MMPs集団のリンパ球のFACS解析において、抗CD4抗体との反応性が陰性を示す個体が高率に認められ、SLAハプロタイプとの関連性について解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MMPs集団のMHCクラスI抗原の3遺伝子座ののDNAタイピングにより、この集団のSLAクラスIタイプとクラスIハプロタイプの種類を明らかにすることができた。さらに2011年度のクラスIIハプロタイプの結果と合わせて、この集団の8種類のSLAハプロタイプとともに、組み換えハプロタイプの存在も見出した。また、これらのハプロタイプを効率良く判定するためにPCR-SSP法による簡易タイピング法による解析も行なっている。したがって、MHC固定ブタの作出のためのSLA解析は、当初の計画通りおおむね順調に進展していると言えるが、これらのハプロタイプをホモに有する個体は、3つのハプロタイプの少数個体についてのみ検出されており、ホモ個体の作出が遅れている。このため、MHC固定ブタを用いたリンパ球混合培養反応などのSLA遺伝子の機能と関連する免疫学的特性の解析はやや遅れている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度に明らかになったマイクロミニピッグのSLAクラスI, IIハプロタイプについて、各ハプロタイプをホモに有する個体の作出のための交配と簡易タイピングによる確認を継続して行い、SLAクラスI, IIハプロタイプ固定ブタの作出を目指す。さらに、移植予後の判定に有用な組み換えハプロタイプの存在については、SLA領域内の組み換え部位を明らかにするために、マイクロサテライトマーカーを用いた解析を行う予定である。また、SLA遺伝子の機能と関連する免疫学的特性の解析を進めるために、SLAハプロタイプ固定ブタを用いたリンパ球混合培養反応などを行うとともに、抗CD4抗体と反応性が陰性の個体について、SLAハプロタイプとの関連性やCD4遺伝子の発現と多型性などについて、解析を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度の研究費は、2012年度と同様、主としてPCRや塩基配列解読によるSLAタイピングのためのプライマーやプローブ、各種酵素類、核酸抽出用キット類、並びにリンパ球混合培養反応などの細胞免疫学的特性解析のための培養関連試薬類などの物品費として、使用する。また、本研究の当初の予定通り、研究費の一部は、国内の学会における本研究の研究成果発表と研究打ち合わせのための旅費として、使用する計画である。
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Research Products
(9 results)